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『家日和』 [奥田英朗]

家日和

家日和

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/04/05
  • メディア: 単行本
出版社 / 著者からの内容紹介
会社が倒産して家事に目覚めた夫。ネットオークションに、はまる専業主婦。凸凹夫婦の不思議な人生の波長。いつもどおりの“家”にだって、ドラマティックな出来事はある! 家って、やっぱり面白い。

SH3I0041.jpg10月2日(土)は子供達の小学校の運動会であった。3人兄弟の我が家では、長男の小学校入学から末っ子の小学校卒業まで12年間にわたり、この小学校にはお世話になる。長男が小学校を卒業した今はちょうど折返し点を過ぎたところだ。家族全員でインドで生活していた2年間はご無沙汰してしまったが、それでも5回目の運動会観戦、まだ5回残っている。父兄観覧席にレジャーマットを広げて子供達の姿を追いかけながら妻と話したのだが、今年はレジャーマットがやけに広く感じた。なぜなのか考えてみたが、去年まではいた末っ子が今年は競技する側に回っているのが大きな理由だろう。逆に卒業した長男は他の予定があって応援には来なかった。

娘と次男の出番がない間は、レジャーマットに寝転んで、本を読んでいた。こういう状況で読む本は難しい内容のものよりは小説の方がよい。僕が今図書館から借りてきている本の中で、こういう性格のものといったら、久々に読もうと考えて借りていた奥田英朗の短編集しかなかったので、それを持っていくことにした。収録短編は6編だが、運動会の会場にいる間に4編目の途中まで読んでしまった。

気楽に読める家族小説である。子がいるかいないかは大きなファクターとはならない。子供がいても主人公である父親(または母親)と積極的に絡んでくる作品はなく、あくまで主人公を中心とした心の動きが話の中心となっている。強いて言えば妻(ないし夫)が絡んできて主人公を振り回すという作品はあったけれど。「夫とカーテン」に出てくる夫なんて、伊良部一郎君を思い出させてくれる。

そしてどの作品でも主人公の心の動きというのは、こうして小説で描かれてみると確かにありがちだと改めて気付かされる。ネットオークションにハマっていく主婦を描いた「サニーデイ」とか、ロハスにハマっていく妻を冷ややかに見つめる夫と子供達を描いた「妻と玄米御飯」もそんな作品だった。

僕らのような家庭を持った中年オヤジにとって、心の琴線に触れる作品といえば「家においでよ」であろう。作品中に出てくるこんなセリフに、思わず頷かずにはおれなかった。
「おれ、思うんだけど、男が自分の部屋を持てる時期って、金のない独身生活時代までじゃないか。でもな、本当に欲しいのは30を過ぎてからなんだよな。CDやDVDならいくらでも買える。オーディオセットも高いけどなんとかなる。けれどそのときは自分の部屋がない……
「まったくだ。おれなんかCDを買っても聴けるのは車の中だけだぜ」
「まだまし。おれなんか通勤中のiPodだけ。車の中でロックをかけると子供たちがうるさがる」(中略)
「おまえら家長だろう。家も買ったし、書斎ぐらい確保できないのか。女房にびしっと言ってやれよ」正春が焚きつけた。
「馬鹿言え。3LDKで何ができる。ギターだって弾けないんだぜ」
「うちは4LDKだけど、和室は来客用とかいって本棚も置かせてもらえない」
「要するにサラリーマンの大半は給料の運搬人よ。ヒルズ族なんてのは殺してやりたい」
(pp.110-111)
―――なんか、ものすごく理解できる会話。5人家族の我が家では書斎なんてとっくの昔に諦めて最近は読みたい本は図書館で借りて済ませ、仕事したいときは喫茶店かコミセン図書室で集中して作業するかで対処している。CDやDVDは押入れの中か車の中であり、聴けるのは専ら運転する車の中である。「書斎」とは言わないにせよ、和室を勉強部屋(作業部屋)にしたらどうかと思ったが、現状そうはなっていない。家族のうたた寝用の部屋と化している。

家の中に、1人で趣味なり仕事なりに没頭できる場所がないのが僕ら中年オヤジなのだ(苦笑)
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yukikaze

鵜飼の鵜・・・サラリーマンの給与が銀行振り込みになってサラリーマンは鵜になったような気がします。

とはいえ、故藤田まこと氏が演じていた『必殺仕事人』の中村主水も同じような境遇でしたが、実際、あの時代の武士も同じような境遇だったと聞くと、結婚に興味がないと平然として言う二十代の意見も当然なのかと思わぬでもないです。
by yukikaze (2010-10-04 11:10) 

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