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農民の自殺2009 [インド]

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毎年、12月頃になると、国立犯罪記録局(National Crime Records Bureau)が前年の国民の死亡に関する統計を発表する。このブログで取り上げたのは2007年秋に2006年統計を取り上げたのが最初で最後であるが、その後も毎年発表されている統計数値だ。インドでは21世紀に入ってから農民の自殺が多いことが非常に問題になっているが、それを問題視する新聞記事の多くがこのNCRBの統計データを引用している。

去る1月中旬、2009年の統計値が発表された。知人から新聞報道の切り抜きを送ってもらったので、2011年1月17日付Times of India紙に掲載された「1日1326人が事故ないしは自殺で死亡(1326 Indians die due to accidents, suicide every day)」で内容を確認してみよう。

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1)2009年、インド全国での農民の自殺者数は17,368人で、2008年に比べて7%の増加となっている。

2)2009年、インド全国での事故死者数は1日当たり418人で、年間総数では約357,000人にのぼる。うち348人は交通事故によるもの。1日当たりの自殺者数も348人と交通事故と同数にのぼった。これは年間で127,000人となる。インド全国での自殺者数の伸びは前年比1.7%であったのに対し、交通事故死は7.3%と急増している。

3)農民の自殺者が多かったのは、1位がマハラシュトラ州(2,872人)で、以下アンドラ・プラデシュ州(2,414人)、カルナタカ州(2,282人)、チャッティスガル州(1,802人)、マディア・プラデシュ州(1395人)と続く。マハラシュトラ州は10年連続ワースト1位である。タミル・ナドゥ州の農民の自殺者は1,060人だったが、これは2008年の512人から倍増している。農民の自殺の理由として貧困は確かに大きいが、とはいってもビハール、オリッサ、ジャルカンドといった貧困州の自殺件数は少ない。

4)自殺者の男女比で見ると、1日当たりの自殺者348人のうち、223人は男性で、女性は125人、女性のうち69人は主婦だった。病気を苦に自殺したのは1日平均73人で、恋愛を理由にした自殺は10人だった。年間の総自殺者数127,000人のうち、68.7%が15~44歳の年齢層に属する。

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正直なところ、この新聞記事は記載されている数字に整合性が取れないものが多く含まれており、とても全文掲載するには堪えないと思ったのでなるべく農民の自殺に関する部分に絞って紹介したが、もう1つ気になったのは交通事故による死者数の増加である。経済成長が進めばモータリゼーションも進展し、交通事故も件数が増えるというのは当たり前のことだと思うが、自殺者数の増加率もかすんでしまうような急増ぶりで、非常に気になる。(ある意味、あの道路交通のアナーキー振りを見れば当たり前だろうという気もしてしまうが、交通事故の抑制は今後インドの大きな課題となってくるだろうと思う。)

ArharDal.jpgこの日の同紙にはもう1つ、農民の自殺に関する気になる記事が掲載されていた。「マディア・プラデシュ州の農民、1ヵ月に8人が命を絶つ(8 MP farmers end lives in a mth)」(Suchandana Gupta記者)というもので、舞台はマディア・プラデシュ州の北中部ブンデルカンド地方にあるダモー県である。同県では12月1ヵ月の間に8人もの農民が自殺しているのだという。同県のナルシンプールやガダルワラといったブロックではアルハール(右写真)と呼ばれる黄色いダル豆の一種の生産で有名だが、この冬は霜に加えて虫害に襲われて作物に大きな被害が出たため、高利貸しから借りていた種子や農薬、肥料の購入代金の返済が滞る事態に陥っている。

記事の中で紹介されている自殺した農民の場合、トラクターを1時間400ルピーでレンタルし、合計16,000ルピーを支払わなければならない。これに地主からの農地借料が年間120,000ルピー加わり、トータルで200,000ルピーを借り入れていたらしい。

州政府は50億ルピー(100億円)の予算を投入して農民向け貸出金利を3%から1%に引き下げる方針を打ち出したが、これらの農民は市中の高利貸しからお金を借りており、公的機関からの借入によって借り換えるような措置がスムーズにいくとはちょっと考えにくい。それに、高利貸しに対して借金取立てのために農民を威嚇する行為を禁止するよう政府は通達を出したとのことだが、地方の警察レベルでは、農民からの訴えがなければ威嚇行為を裁くことができないという。(農民が自分の身に何か危険が生じるような告げ口行為を率先して行なうとはこれまた考えにくい…)

【関連記事】
"1326 Indians die due to accidents, suicide every day"
Times of India, 2011年1月17日
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-01-17/india/28351292_1_farmer-suicides-farm-suicides-suicide-victims

"8 MP farmers end lives in a mth
Times of India, 2011年1月17日
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-01-17/india/28368525_1_farmer-suicides-moneylenders-damoh


インドの人々が今回の東日本大地震・津波災害の被災者と日本国民に対してこんな形でエールを送って下さっているのはとてもありがたいことだと思う。その一方で、こうした祈りをささげて下さっているバンガロールやアーメダバードといった大都市の人々が、農民の自殺についてどれだけ理解しているのかはよくわからない。ギリギリのところまで借金をして何とか生産活動や日々の生活を営んできた人々が、農産物価格の低迷や投入財価格の高騰、農産物の不作といった外的ショックで一気に奈落の底に陥れられるのは忍びないことで(我が国も、国としてはそれに近い状態だと思うが)、その祈りの何パーセントかでも国内の人々に向けていただけたらとても嬉しい。
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