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『わかりやすい絹の科学』 [シルク・コットン]

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わかりやすい絹の科学―基礎から実際まで

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文化出版局
  • 発売日: 1990/03
  • メディア: 単行本
出版社/著者からの内容紹介
絹の美しさ、着心地のよさから、最近のハイブリッドシルクまで、その扱いなど豊富なイラスト、写真で解説したQ&A方式の絹のガイド。被服関係者などに最適。
この本は今年1月に読んで、そのまま感想も書かずに放ったらかしにしていた。基本はレファレンスブックなのだが、タイトルからも想像できるように、この本は養蚕というよりも絹糸を科学的に説明した解説書である。

今年1月に本を出した際、本の中であまり触れられなかったのが製糸以降の工程であった。南インドの農家が質の高い繭を作って収入が上がるというストーリーなら読者の興味も湧くのではないかと思ったし、実際に日本から派遣されていた専門家の方々はほとんどがそちらの方のご専門の方々であった。日本人の養蚕技術専門家と地元養蚕農家の交流といったら面白い逸話も沢山あって絵になりやすい。本を書くときにそこに重点を置くという方針は最初から決まっていたので、製糸以降の工程については、必要最低限の知識だけしか持ち合わせず、原稿の中でもあまり言及しなかった。僕の本に書けているポイントはそこだと思っている。

いずれ南インドの製糸業者の話ももっと調べて何かの形で紹介できたらと思ってはいる。本の中では触れなかったが、現地の政府機関で珍しく社会科学系のバックグランドを持っている方にお目にかかって少し話をさせてもらったところ、南インドの民間製糸業者は経営者の高齢化が進んでいて、あと10年もしたら製糸業者がいなくなると仰っていた。製糸業者はサナギを殺す作業をこなさねばならないので、ヒンドゥーの高カーストは経営者にも工員にもおらず、経営者層はそういうタブーのないムスリムが殆どで、工員には同じくムスリムや低カーストが多いのだとか。南インドでは労働力不足が進んできており、こうした殺生が絡む仕事でなくても教育を受けていれば雇用機会はある。製糸業者の子息は家業を継ぐよりも他の仕事に就こうとしているし、工員も他の楽な作業を選択する余地がある。合理化が進んで大規模な機械制製糸工場でも出来てこないと、中小の製糸業者が存続できる余地は相当に限られているのではないかと思う。以上は単なる予想なので、それなりにエビデンスを集めてみないとこれ以上は述べることは難しい。

そんなわけで、長期的にはもう少しインドの製糸業や織物業について調べておきたいと思っている。でも、糸についての予備知識は本当に限られているので、そのとっかかりとして、絹糸について書かれた解説書を幾つか読んでおこうと思った。こういう本が近所の市立図書館に所蔵されていることがわかっただけでも大きな収穫である。必要あれば何度でも調べに行けるから。

とはいえ、今回は先ず必要となったのは、第Ⅷ部に書かれている「絹の歴史、蚕糸業の役割」であった。「人間とシルクのつき合いはいつごろから始まったのでしょうか?」「シルクロードはいつごろとどのようにしてできたのでしょう?」「西方への絹の伝播について教えてください」「絹から見た日本人の生活史を教えてください」「蚕糸業は女子教育に貢献したといわれていますが、その経過を教えてください」「日本経済を担った蚕糸業の発展と過程を教えてください」といった質問項目に、巻末資料として、「主要な絹織物の産地」「絹に関する時代年表」「絹に関係のある官庁、団体、研究機関」等が収録されている。1990年の発刊なので、さすがに巻末の関連団体リストはちょっと古いけれど、歴史をふり返るなら1990年代を起点にして過去に遡ればよいと思うので、今読んでもさほど違和感を感じない。

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