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『大地の冬のなかまたち』 [読書日記]

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大地の冬のなかまたち (1981年) (講談社文庫)

  • 作者: 後藤 竜二
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1981/02
  • メディア: 文庫

前作『天使で大地はいっぱいだ』に続き、開拓農家の四男坊サブの日記を通して、鉱山閉鎖や豊作貧乏に泣く農家の子供たちを描いた作品。前作は、サブが小学校最高学年に進級した春の始業日に担任となった新米教師キリコと出会うところから始まり、夏休み明けまでが描かれているが、本作は北の大地に初雪が舞った10月頃から年明けまでという比較的短い期間が扱われている。また、前作はキリコ先生との絡みや隣りのクラスの嫌味なアオとの絡みなど、幾つかのエピソードがあり、キリコ先生とサブの長兄ノブさんとの間に何かが芽生え始めているのを感じさせる終わり方だったが、本作の方はキリコ先生は脇役でその恋の進展など全く描かれておらず、全編を通して、炭鉱労働者を父に持つ転校生カッチ(佐藤和夫)とサブの対立から友情が芽生えるまでのエピソードが中心的に描かれている。

そうした作品の中で、1970年頃には既に閉山の憂き目に遭っている北海道の炭鉱の労働者とその家族の悲哀や、銀行や農協からの借金で働いても働いても収入が向上しない大規模農場経営の苦境が垣間見える。本作品は、初刊が1972年頃だったと思う。僕らが小学校高学年でこのサブが主人公の2作品はクラスの男子の間では一大ブームとなり、何度も読んだのをよく覚えているが、当時はそんなことには思いもよらず、北海道の大地を駆けまわる少年達にただただ憧れたに過ぎない。この歳になって読み直してみると、児童書のわりには社会問題にここまで踏み込んで描かれていたのだなというのに改めて驚かされた。

都会に出て競争社会を生き抜こうとするカッチ、競争激化が予見できるがゆえに小6の今は競争よりも皆が一緒に喜びを分かち合おうと謳う新米教師キリコ、時代背景を考えると含蓄のある作品である。前作に引き続き、キリコ先生に萌える。スミマセン!でも、市川禎男さんの描く挿絵がけっこう好きだった。

タグ:後藤竜二
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コメント 1

佐藤和男

訂正
by 佐藤和男 (2018-08-08 10:48) 

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