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『覚悟』 [ベースボール]

覚悟 理論派新人監督は、なぜ理論を捨てたのか

覚悟 理論派新人監督は、なぜ理論を捨てたのか

  • 作者: 栗山英樹
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2012/10/10
  • メディア: 単行本
内容紹介
理論派新人監督は、なぜ理論を捨てたのか――。 今季から北海道日本ハムファイターズで指揮を執る栗山英樹が、 紆余曲折の1年目を振り返る。 20年間取材者として生き、 野球理論を確立した男が直面した現場の壁とは。 そして、その野球理論を超えたところに見つけた勝利の哲学とは。 ダルビッシュ有の穴を埋めるために考えたこと。 4番中田翔をした理由。 チームの顔、稲葉篤紀に託したメッセージ。 若手選手を起用するときの言葉。 三原脩、野村克也、藤田元司……名将から学んだこと。 監督とはどうあるべきか、苦悩と歓喜に満ちた備忘録。
昨季プロ野球の監督に就任したのは中日の高木守道、阪神の和田豊、DeNAの中畑清、日本ハムの栗山英樹などがいるが、この中でも最も手腕が未知数だったのは栗山監督だろう。大リーグ挑戦のためにチームを離れたダルビッシュの穴が大きいので、余計に栗山監督というのは不安がられていたと思う。その中で、リーグ優勝という実績をあげたのだから、監督の手腕は評価されていい。前任者から前年優勝した戦力をそのまま引き継ぎながら、優勝を逃したどこかのチームの監督とは大きな違いだ。

現役の監督がシーズンの闘いを振り返るというスタイルの本は意外と珍しい。面白かったことは面白かったのだが、日ハムファンでない僕はファイターズの闘いをずっと追いかけていたわけではないので、監督がその試合をどう考えてどう選手を起用したのかというのをいちいち書かれても、今ひとつよくわからないというのもあった。日ハムファンにとっては望外の嬉しいシーズンを振り返るのには格好の本で、その点ではお薦めはする。(薦められる前に日ハムファンの多くは本書を購入しているに違いない。)

ただ、シーズン中によく書いている余裕があったなという戸惑いも正直言うとある。ブログを書いていて、「そんな余裕があるなら大学院の研究に専念しろ」と指導教官から言われていた僕には、「監督という仕事が思っていた以上に大変なものだ」と書かれていても、「でも原稿は書いているじゃないですか」という反論もしたい気持ちには襲われる。日ハムの宣伝にはいいので、最初から球団と監督の契約に含まれていたのならこの割り切れなさは自分の勝手な思い込みであることは認める。そういう意味で、この本の印税はどう使われるのかには関心がある。或いは、この本の企画は出版社と監督の間で進められたのか、それとも球団との間で進められたのか、そのあたりも興味深い。

また、紙面を割いて何度も言及されている選手だったら嬉しいけれど、あまり言及されていないような一軍選手は、読んでちょっと士気が低下するのではないかと気にもなる。ウルフやケッペルといった外国人選手なら、本書は読めないから問題にはならないだろうが、もし鵜久森や中村勝、多田野などがこの本を読んだらどう感じるんだろうか。捕手も、鶴岡には言及があるが、一時はレギュラー捕手筆頭だった大野奨太はまったく取り上げられていない。取り上げられていない八木は、オリックスへトレードされてしまった。現役監督が現場の選手の起用について自分の考えを開陳するということは、そういうリスクを覚悟する必要があるということだ。

残念ながら今季は今のところはファイターズの調子は良くない。1年目にダルビッシュの抜けた穴は埋められたが、2年目に糸井が抜けた穴は必ずしも埋まったとは思えない。これでシーズンを終えた時にファイターズがせめてCS進出してファイナルステージぐらいまで行っていれば、本書の続編という話も出てくるかもしれない。大谷翔平クン指名と入団説得、そして二刀流の起用法など、今季は今季で興味深い話もあるので、今から続編は楽しみだ。

栗山が高木守道爺などよりもはるかに有能な現場監督であることはこれを読めばよくわかる。今季はパリーグのファイターズと同様にセリーグで最下位争いを繰り広げているドラゴンズは、上昇の兆しすら見えないし、何よりも監督がわざと負けるような選手起用をしている。同じストレスがたまっても試合には結局勝ってくれた落合監督時代はまだよかった。今はストレスがたまった挙句に必敗なので、ファンとしてはやってられない。むしろ、落ちる落ちて、監督解任のマジックを少しずつ減らしていって欲しいとすら願っている自分がいる。

中日ファンにとっては日ハムファンが羨ましい。そう思える1冊だ。

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