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『国際開発援助の変貌と新興国の台頭』 [仕事の小ネタ]

国際開発援助の変貌と新興国の台頭――被援助国から援助国への転換

国際開発援助の変貌と新興国の台頭――被援助国から援助国への転換

  • 作者: エマ・モーズリー
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2014/05/20
  • メディア: 単行本
内容説明
本書では、国際開発における新たなパートナー、あるいは支援提供者として、多くの国が台頭、あるいは再登場してきている現状を活写している。こうした新興国の中には、ブラジルや中国、インドといったグローバル社会の中でも大きなプレーヤーの位置を既に占めている国々から、サウジアラビアのような湾岸諸国、さらにはポーランド、ロシアのような元社会主義国に至るまで、非常に幅広くバラエティに富んだ国が含まれる。こうした国々が国際開発に与えるインパクトは急激に大きくなり、結果としてそれが多くの研究者の興味を惹き、分析対象となってきた。このユニークな本は、こうした現象がより貧しい国々に示す機会と課題、開発政策や開発思想、ガバナンス等に及ぼす影響等を検討する。著者自身の豊富な先行研究と他の研究文献等の広範なリサーチに基づき、本書は、開発や援助、国際関係に関心のあるすべての人々に対し、新興国の台頭がもたらす意味についての批判的な分析と論点の提示を試みる。
お盆休み明け以降、僕のブログの更新頻度が大変に滞っているが、ご想像の通り、それは僕が仕事でテンパっているからだ。お盆休み中、僕は何冊かの本を帰省先にも持ち帰り、暇を見つけてはシコシコ読み進めた。それでも時間が足りなかったので、休暇明け後も追加で何冊か文献を読んだ。お盆休み前に僕が追っていた課題は大きく分けると3つある。そのうち1つは先月28日には片付けた。そして、うちの上司経由で社長から課せられていた宿題に関しては、先週末に突貫工事を施し、9月1日(月)の早朝、取りあえず上司に打ち込んでおいた。

その上での次の課題は、4日(木)夜に予定されていた元役員主催の勉強会でのプレゼンだった。しかも、これまでうちの職場の誰もが取り扱ったことがないテーマで、社長から課せられていた宿題ともテーマが違う。気持ちを切り替えて、それまでとは全く違う準備をしなければならなかったのだ。

そこで勉強会に臨む前提として挙げられていたのがこの文献だった。実はお盆休みの頃から既に始めていたのだが、なにしろ頭に入って来ない。インド人研究者の名前のカタカナ表記が僕らが一般的に用いている表記の仕方と違っていたこともあるし、他国の研究者で既に著書の日本語訳が出ている人であっても、そこで使われている名前のカタカナ表記と、本書で使われている表記が違っているところもあった。どういう基準で名前の表記を決めたのかはよくわからないが、それだけでも違和感が正直あったし、人名や地名だけでなく、開発協力で使われている一般的な記述とは異なる表現が使われている。開発援助をよく知っている人が翻訳していたら、もっと理解しやすい内容だったかもという気がする。翻訳でかなり損している。

ただ、元々の素材としての難しさも読みにくさには一役買っている。新興国といっても、いろいろあるのである。

なにしろ、国全体の数値で比較すると、かつての開発途上国の多くは既にかつての先進国と同じ領域にまで数値を改善するという実績をあげている。論者によっては、「もう「開発途上」というのはやめよう」とすら言っている。国内の格差は広がっているし、置いてきぼりを食っている紛争国や脆弱国というのも課題だ。でも、国全体としては力をつけている。そんな国が非常に増えてきているのだ。


従って、「新興国」という言葉で含まれる国が非常に多いのである。東欧やバルト地方の国々もそうだし、アイルランド、アイスランドもそうだ。アラブ諸国も国際援助では有力な資金源となりつつある。ASEAN加盟国もそうだ。そして、それらの国々が十把ひとからげにできない。アラブといえばある程度の共通性はあるかもしれないが、「新興国」を全てまとめてどういう特徴があるのかを論じることは不可能に近い。そもそもが論じること自体が難しいのだ。

「新興国」といっても、中国、インド、ブラジルあたりを想定して読み始めると、本書はカバー範囲が広すぎて、ある特定国のことを知りたいと期待している読者には読みづらいと感じるだろう。各国の国際協力のスタイルも全く違うし、国際社会におけるポジショニングも大きく違う。中国、インド、ブラジルあたりは、先進国主導の国際協調枠組みには参加そのものを見合わせることが多いが、多くの国々は協調は協調として積極的に取り組んでいるところも多い。ただ、そうして国際協調に参加しようとしない大国が新興国の側にもあるということは、ルールに基づく国際協調行動はなかなか難しくなっていくだろう。世界の直面する問題の多くは、今や特定国が単独で取り組んでなんとか解決できるレベルではなくなってきている。協調行動がいっそう求められる世の中なのに、逆に協調行動がいっそう困難になりつつあるのである。

そうした制約が垣間見えるものの、開発協力の主体の多様化とそれが意味するところを概観するにはかなりいい本だと思う。先行研究の論点整理から、現場でのオペレーション、国際場裏でのアジェンダセッティングまで、割と広くカバーしてくれている。読み進めるのにかなり難儀したが、書かれていることについては首肯できるところが多い。特に、僕が一時期駐在していて情報収集をよくやっていたインドの対外援助については、「独立独歩」「分散化された実施体制」などの特徴があることが、今さらながらによくわかった。

とにかく本書を読み切り、その上でプレゼン資料を作成した。作成の過程で、昔このブログでメモしまくっていたインドの新聞・雑誌の情報を再活用することもできた。なんとか間に合わせて行ったプレゼンは、もう少し準備に時間がかけられたらもっと良かったかもしれないが、妥協の産物として不十分な出来であっても、勉強会に来られた方々は眠らずに聞いて下さったし、僕を招聘して下さった元役員の大先輩には、「いやぁ、知らなかったよ。今はそこまで行っているんだ」と感謝していただいた。プレゼン資料は、職場の同僚にも「読ませろ」「読ませろ」と引く手あまただった。

翌5日(金)にも別の講義があり、押せ押せになってその講義の準備には十分な時間が割けなかった。でも、前夜のプレゼンの論点を使い回し、持ち時間60分でうまく講義を終えることができた。ここまでやって今週の仕事は終わり。お盆休み前からの宿題をほぼ片付けることができ、この週末は久々に何もない開放感を楽しんでいる。

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