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『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』 [仕事の小ネタ]

残酷な20年後の世界を見据えて働くということ

残酷な20年後の世界を見据えて働くということ

  • 作者: 岩崎 日出俊
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2014/11/22
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
興銀、J.P.モルガン、リーマンなどで働いた歴戦のビジネスマンが語る、20数年後、65%の人が今は存在していない仕事に就く時代の生き延び方。すべての「逃げ切れない世代」へ!

ただいまアジアの某国に出張で来ております。ちょっと前までは11月末締切の論文を書き上げるのに四苦八苦していたのが、期日までに提出して次の用務に頭を切り替えるのにわずか1週間弱。論文提出まではと先延ばしにしていた作業が幾つかあったので、それをこなしていたらいきなり出発の日を迎えてしまった感じである。6日(日)に東京を出発し、その日のうちに現地入りしたが、今日まで予定がぎっしりだったので、なかなかPCに向かうのもままならなかった。今日は17時でリリースされたので、今は少しホッとしているところだ。

さて、こうしてアジア某国にまで渡航する道すがら、リムジンバスと飛行機とで、合計すると6時間ほどの時間があった。勿論出張用の資料の読み込みはある程度進めたけれど、それでも時間があったので、僕は機内に持ち込んだこの本を1冊読み切ることができた。今回の出張の用務と関係があるようで、ないようなテーマ。読了して現地での日程に臨んでいるが、こちらの人々にインタビューすればするほど、本書の著者が言う「アジア諸国とのボーダレス化が日本を苛烈な状況に追い込む」(p.220)という状況がよく理解できる。僕自身そんなに仕事ができる人間だとは思ってはいないが、東京の職場で周囲の人々を見ているのと、こうしてアジアの国に来てその国で若くして起業した人やこれから世に出ようとものづくりにいそしんでいる学生さんを見ているとでは大きな違いはない。日本のアニメの仕事がこの国にかなりアウトソーシングされていると聞くと、さもありなんと思う。ロボット工学が勉強したいとか、将来アニメーターになれたらとか言っているわが家の若者達を見ていると、どっちに競争力があるだろうかと悩む。少なくとも英語が普通に話せるだけ、こちらの若い人の方が競争力があるような気がする。

でも、この語学力だってひょっとしたら安泰ではないかもしれない。昔は外国語を訳してくれる通訳なんて、なりたくてもハードルが高すぎる専門的な仕事だったと思う。僕が就職した1990年代は、英語を日本語に訳してくれる翻訳ソフトの能力なんて、たかが知れていると思っていた。やんごとなき事情により翻訳ソフトを購入したが、5万円ぐらいした。大変な出費だ(・・・と妻にはアピールしておきたい)。それが今やどうだ、パソコンのソフトなど購入することはない。Google Translateを使えば、翻訳などある程度の正確さでできるし、電子辞書には音声機能が付いているので、発音の仕方がわからなきゃ機械にしゃべらせればいい。多分、海外旅行者用に文章通訳のアプリだって既にあると思う。既に逐次通訳の世界は機械に置き換わりつつあるし、そのうちに同時通訳だって機械がやってくれる世の中がくるかもしれない。少なくともSiriの音声認識機能がここまで正確になってきたのなら、同時通訳だってできるようになるに違いない。

すごい世の中になりそうだ。40年前に僕らが中学生だった頃に憧れた仕事が、今では機械に置き換えられようとしているのだ。新しいテクノロジーが将来の雇用をどんどん奪っていくという予想は、感覚的にはかなり当たっているように思えてならない。先が読めない状態で、わが子に何を伝えればいいのかもよくわからない。

標題の割には論点が広範に及ぶが、全体を通じて著者が伝えようとしているのは、20年後は残酷な未来が待っているから、企業でずっと勤めることがかなわなくて悩んだり、就職できたら就職できたで身体ともに疲弊させられるような働き方を目指すより、起業を想定して自分のスキルを今から磨いておけというメッセージなのかなと理解した。著者によれば公務員だって安泰ではない世の中が来ると警告している。公務員の仕事はなくすことはできないかもしれないが、多くの部分は人を介在させない方が効率的かもと思えることは多い。

そんなに儲かる仕事じゃなくても、日々自分と家族が食べていくのに困らない程度に仕事できるのであれば、起業という生き方はありかもしれない。僕らみたいに組織にすべての手続を頼り切った人間は、生きていくためのすべてのことを1人でやらなければいけないという状況に置かれたことがなかったので、今さら起業して自分で勉強してすべてを自分でやるなんて生き方をこれから志向することなんてできないが、若い人ならチャレンジしてみるのはありだと思う。特に、出張先のアジアの某国で、若い起業家の意気込みを聞いていると、起業するぐらいでないとアジアの若者と闘えないような気はしてしまう。

でもですね、ちょっと反論したくなる自分もいる。だって、この著者、英語の勉強は若い時からちゃんとしておけとかなり主張されているけど、僕らからすると、英語を含めた外国語を使用する状況自体もテクノロジーが自動翻訳してくれるような世の中が近い将来に到来するような気がする。その1点をもってして、著者の論点には説得力に欠ける部分がないこともない。

それに、著者がこんなことが書けるのも、結局のところ著者が起業で成功をおさめた経験者であることが大きいように思う。成功者が人生の先輩づらして自分の経験も交えながら若い人向けのメッセージをまとめると、こんな感じになりましたという感じの1冊にまとまっているようにも見えるのである、残念ながら。

起業をやって大成功する人もいれば、そこそこの人もいるし、まったくうまくいかないという人もいると思う。起業をやっても絶対うまくいかない性格の人がこの本を読んだら、絶望しちゃうでしょう。オルタナティブな働き方についても考察してくれないと、いたずらに若者を不安がらせるだけに終わってしまうのではないかと気がかりです。リスクを取らない生き方を志向する若者が増えているのは、決して若者の気質に問題があるというだけではない。我々がそういう世の中を作ってきてしまったのだという反省に立って、謙虚に我々はどうすべきかも論じる機会にして欲しかったなという気がする。

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