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障害児に関する理解は限定的 [ブータン]

障害への理解は限定的
Knowledge about disability limited, finds study
Kuensel、2017年11月6日、Karma Cheki記者
http://www.kuenselonline.com/knowledge-about-disability-limited-finds-study/

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【ポイント】
11月4日(土)、教育省とユニセフは、障害を持った児童に関する理解と態度、取組み実践(KAP)の実態調査報告書を公表した。

ユニセフのルドルフ・シュウェンク現地事務所長によると、視覚障害を持つ人だけを障害者だと信じている人がいまだにいると指摘。聴覚に障害があったり、認知学習のスピードが遅かったりする子供はどうかというと、外見的にすぐにはそうとわからないが、そのことをできるだけ早いうちから理解し、適切な支援を行うことが必要だと強調する。

調査は、計575人からの回答を得ているが、殆どの人は、障害に関する国の政策や国際合意等を承知しておらず、障害児を持たない回答者の16%、障害児を持つ回答者の23%しか、障害児向けの法制度を適切に理解していないことを明らかにした。

また、回答者の約半数が障害児は他の生徒と一緒の学校に通うべきだと回答しているが、特別学校に行かせるべきかと訊かれると、88%の回答者が、特別学校に入れるべきだと回答している。

この調査では、障害児とその家族に対する態度が、より若い世代と高学歴の回答者ほどポジティブである傾向を確認した。また、ブータンでは障害児への教育や社会的支援の提供は改善し、適切であると言われているが、障害児を持つ世帯に聞くと、学校や地域社会から得られる支援は未だ不十分だと答えていると指摘。また、障害児とその両親は、教員は障害児と一緒に働くことには前向きだが、障害児との接し方について、十分な訓練を受けていないとも感じている。

障害の原因として、報告書は4つ挙げている。①前世の悪行の影響だとする輪廻信仰、②乳幼児期の不適切なケアないしは妊産婦の不十分な栄養摂取、③タバコ、アルコール、薬物等の摂取、④劣悪な衛生環境。正規教育を受けていない人の85%以上が、輪廻を信じているという。

その上で、報告書は、今後の取組みのターゲットとして4項目の提言を行っている。①政策環境と制度強化、②障害児の家族に対する支援、③一般市民の行動変化、④専門グループの能力強化。具体的には、障害児の社会的包摂、教育面での包摂に向けた国の政策の確立、障害児とその家族に対するよりわかりやすくアクセスが容易な支援、障害児に関する情報の親世代に対する普及、障害児に関する普及啓発、専門訓練の実施など。

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11月15日から秋期国会が開幕するのもあるからか、大臣が主賓として出席して行われる国際会議だの、報告書の公開イベントだのが、頻繁に行われていてメディアも大わらわである。この2週間を振り返ってみると、第3回医療保健学国際カンファレンス(3~5日)、障害児KAP調査報告書ローンチング(4日)、財政の地方分権化実態報告書ローンチング(6日)、第7回GNH国際会議(7~9日)、Bhutan For Lifeイニシアチブ開始式典(11日)、グローバル企業家週間(13~17日)、世界銀行Climate Smart Agriculture国別プロファイルのローンチング(14日)等が続いた。大臣が出席すればその場に花を添える(grace)するために、各援助機関の現地事務所長が呼び出される。所長の代理を務められるスタッフがいるところはいいだろうが、次長ポストを設けていないJICAの所長は、毎回呼び出されてさぞかし大変だろう(笑)。

ここで挙げたすべてが紹介できているわけじゃない。Bhutan For Lifeはわけあって先にご紹介したが、GNH国際会議もまだ紹介していない。あまりにもイベントが多くて、報道内容の咀嚼にいまだに苦労している。でも、順番からいって次はやっぱり障害児KAP調査報告書だろうと思い、この問題を取り上げた。

実態をデータで示すことは非常に重要である。自分の論点に箔を付けるための引用がしやすいし、何よりも政策立案者を説得しやすい。こういうところに重きを置いて取り組んでいる国際機関は立派だし、そこに彼らの存在意義があると思う。今回の報告書も、障害児の取り巻く環境を明らかにしたという点では非常に価値のある報告書である。

特に衝撃的だったのは、障害の状況が目に見えることだけを以って障害者と認知しているというブータン人の傾向だ。ユニセフの所長は聴覚障害ですら認知状況が危ういと述べているが、知的障害になるともっと認知されていない。以前、JICAの関係者から、「教育省の人は、特に知的障害が絡んだ多重障害を持つ子供は教育を受けなくてもよいと思っているようだ」と聞いてことがあるが、そうやって思っているということではなく、そもそもそういう認識がないのだというのが問題なのではないか。教育関係者の意識を変えていかないと、光すら当たらない子供たちがいる。知的障害が絡んでいたとしても、周りの人々が意識的に周辺環境を整える工夫をしていけば、障害児の社会への参加は十分可能だということを、もっと知ってもらう努力をしていくことが必要だ。

その上での教員の訓練だと思う。少し前に障害を持つ子供や若者に職業訓練を施す学校を見学したことがあるが、そこの教員は知的障害を持つ生徒の扱いに明らかに戸惑っていて、ありていに言えば放ったらかしにしておくしか術がないという感じでたたずんでいた。傍目から見れば教師の怠慢のように見えてしまうが、何をやったらいいのかわからないという状況にあるように思える。そもそもそういう意識を教育行政関係者が持っていなかった可能性があるので、国内のリソースだけでこの課題を解決できるとは思わない。それこそ外国の先進的な取組み事例から学ぶ機会の必要性を感じる。

学校施設のバリアフリー化というのもあって良いのではないか。10年以上前にカリンの盲学校を訪ねたことがあるが、坂が多い地形条件だったが、階段ではなくスロープを設けて歩きやすいような工夫がされていたのを思い出す。こういう、教育サービスの提供側が、施設のアクセシビリティや情報保証にもっと注意を払うような取組みが全国でも進められれば、それを見る人々の意識も変わっていくだろう。科学技術の力も必要。ティンプー郊外にあるファブラボでは、既に入力情報を電光掲示で流すプロトタイプは作られていたし、補聴器や磁気ループの研究開発も、誰かがそういう意識を持ってファブラボにアプローチしていけば、相当利用価値のある取組みが展開できるだろう。

こうした実態をデータで示したという意味で、繰り返すがこの報告書は非常に重要だと思う。以前、日本の某NGOが、障害者の実態調査を幾つかの県で実施し、その結果をまとめた報告書を作って国会議員等に配布したことがあるらしいが、製本版も見たことがなく、ユニセフのようなド派手な報告書ローンチングもやらなかったので、そもそも引用自体ができない。JICAですらやれていない実態調査を日本のNGOがやったという意味ではすごいことだが、やるならしっかりした方法論で、ちゃんと光が当たる形でやるべきだったのではないかと思う。カッコいい報告書が作れるというのは重要なことなのだ。

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