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アッサム側のシルクビジネス [シルク・コットン]

国境を越えて広がる野蚕シルクビジネス
Burey business thrives across border
Kuensel、2018年3月28日、Tshering Namgyal 記者(サムドゥップジョンカル)
http://www.kuenselonline.com/burey-business-thrives-across-border/

2018-3-28 Kuensel.jpg

【ポイント】
サムドゥップジョンカルの街を訪れるブータン人の多くは、インドとの国境を越えてアッサム州ダランガの街まで出かける。目的はブラ(野蚕シルク)の生地を購入すること。この生地は、メチ(Mechey)、コチラパ(Kotsirapa)、グダマ(Gudama)、サムドップジョンカル・ブラ(SJ Burey)などと呼ばれ、自家用、贈答用、いずれのニーズもある。ダランガを訪れる多くのブータン人は東部の人々。

国境沿いのインド側にあるグダマやメラバザールといった街では、ブータンのゴやキラに使えるパターンの生地が生産されている。ショールームを訪れるブータン人の相手をする店主は、流暢なシャショップ語を話す。40店舗ほどが集まる市街地で、生地を扱う卸売業者は6店舗あり、その周辺に加工品を小売りする業者が数店舗展開している。ブラのゴ、キラの価格は1800ニュルタムから15,000ニュルタム。カブニは1500ニュルタムから4000ニュルタムの価格帯だという。

インドの巨額紙幣廃止や物品サービス税(GST)導入の影響は、ブラ取扱業者の間ではあまり感じられていない。ブラに対する需要は堅調で、1店舗当たりの月間売上高は、5万ルピーから200万ルピーにもなるという。店主の1人、ビジュ氏(48歳)は、この地で35年間営業を続けているが、毎日30~50人のブータン人が店舗を訪れ、月50万ニュルタムの売上げがあるという。

別の卸売業者、トゥファン氏の店舗では、月間150万ニュルタムの売上げを誇る。但し、1反当たりの利ざやは100~200ニュルタムだという。彼の顧客はティンプー、ブムタン、パロ、ワンデュ等から毎月1回は訪れ、1回につき15万~20万ニュルタム分の生地を仕入れていくという。

ブラはサムドゥップジョンカルからプンツォリン方面に向かう20キロ圏内にある、タムル・プリの地元機織り業者が生産している。生糸は遠くビハール方面から行商人が仕入れてきて、オンデマンドで生地が作られているという。

ブータン側でも、ブラでビジネスしている人も。タシガン県ポンメ郡のリンチェン・ワンディ氏(48歳)は、20年以上この仕事に従事している。リンチェン氏はブラ製のゴ、帯、ハーフキラ、テゴ等20万ニュルタム相当を仕入れ、インド側のアルナチャル・プラデシュ州シャー、タワン等で売り捌いている。同州には根強い需要があるので、売れ残りの心配は全くないという。

◇◇◇◇

この日のクエンセルの最終面に載っていた記事。ちょっと江戸時代の呉服屋さんを彷彿とさせるような写真が掲載されているが、クエンセルが野蚕シルクをここまで扱った記事を掲載したこと自体が珍しいが、国境を越えたアッサム側を扱った記事自体が珍しい。アッサム側の報道って、アッサム州のローカルメディアでも追いかけていないとまったくわからないし、そもそもブータン国内のメディアで、アッサムのことが取り上げられること自体、過去2年間を振り返ってみても全く記憶にない。

野蚕シルクについては、昔はタシガンやタシヤンツェあたりでは生産されていたと聞いていたが、生業としてやっていくには非常に手間がかかる。また、殺生を嫌うというところからも敬遠されてしまい、今ではブータン国内で養蚕の話は聞かなくなってしまった。材料の生糸はインド産だというところはあえて触れずに、伝統織物の継承というところが強調されて、若い人たちに機織りを教えようという動きもあるようだ。

そんな中で、そもそも機織り段階までインド側で行われているという実態を、この記事は明らかにしている。ある意味、よくクエンセルもこの記事掲載したなと思う。あまり触れられたくない実態なのではないだろうか。

ただ、この記事を読んで「おや?」と思ったところもあった。僕の今までのイメージは、生糸はアッサム産で、機織りはブータン国内で行われるものだと勝手に思っていたのだが、この記事だと、生糸はビハール産で、機織りはアッサムという、工程が1つずつ前にずれた形になっていた。で、僕が勝手に生糸はアッサム産だと思っていたのは、アッサムがシルクの一大生産地だと理解していたからだ。それで、昔の文献でちょっと確認してみたところ、ビハール産と言われてちょっと合点がいった。

ブラで使われる生地はエリシルクだと聞いていたが、インドのエリ蚕養蚕はビハール州とオディシャ州で行われているのだ。一方、アッサムの養蚕はムガ蚕で、それでできるムガシルクは、ブラの生地ではなく、インド国内でも婚礼の時の新郎が着たり、有力な政治家が着たりするベストの生地として使われているのである。その辺がゴッチャになっていたから、「おや?」と思ってしまったのだろう。

このあたりの僕自身の誤解は、この記事に出会わなければ解けなかっただろう。その意味では、この記事には非常に感謝している。機織りまでインド側に行ってしまっている実態を知ったのはちょっと悲しいけれど。

【参考文献】
「野生のカイコが生むシルク」(2011年12月)
https://libportal.jica.go.jp/library/Data/ProjectHistory/IndiaBivoltineSericulture/IndiaBivoltineSericulture_Note3.pdf
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長谷川千代


2018/1/22〜24に第8回国際野蚕学会がアッサム・ゴワハティーで開催されたところです。もちろん参加してまいりました。
さて、基本的な事ですが、
エリもムガも原産地はアッサムです。ムガはアッサムでしか今の所生息できませんが、エリは東南アジアから中国南部にまで生息しております。近年(多分1998年のオリッサでの野蚕学会あたりからですが)インド国内外で生産が進んでおります。アッサムのものは大変質も良く値段も高いので、ブータンに行かない可能性はありますが・・・
元々はブータンでも飼われていました。
ビハール・オリッサ州はタサール蚕がメインです。
by 長谷川千代 (2018-04-11 13:21) 

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