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STEM教育の参考書 [読書日記]

The Invent To Learn Guide to 3D Printing in the Classroom: Recipes for Success (English Edition)

The Invent To Learn Guide to 3D Printing in the Classroom: Recipes for Success (English Edition)

  • 出版社/メーカー: Constructing Modern Knowledge Press
  • 発売日: 2014/06/01
  • メディア: Kindle版
内容紹介
本書は3Dプリンティングの驚くべき世界を自分達の教室に紹介することに関心を持つ教育者にとって不可欠なガイドブックである。 エキサイティングな技術、パワフルな新しいデザインソフトウェア、さらには初めて3Dプリンタを購入する際のアドバイスも学べる。本書は、現場の教師が試行した様々な段階的な教室での制作プロジェクトの実戦経験から来ている。 18の楽しくチャレンジングなプロジェクトは、科学技術、工学、数学、そして視覚芸術とデザイン等の分野に新たに挑戦していくものである。

ファブラボ・ブータンを訪れて、自分なりに3D CADソフトの操作をしていて、わからない時に困るのは、自分の直面している問題点を英語で説明することの難しさと、それをファブラボのスタッフが理解してくれて一生懸命説明してくれる英語がよく聴き取れないことである。僕のCADソフトは日本語環境で使用しているので、言われたコマンドがどれを指すのかがわからず、教える方も教わる方もお互いストレスをためるケースがちょくちょく起こる。

そういうのを少しでも解消したいと思い、それならものづくりの教科書的な英文書籍を読んで、CADソフトやフロントエンドソフトで用いられるコマンドの英語名と操作の英語表現を多少学んでおこうと考え、本書は読み始めた。本書で使用される2D CADソフトは主にはInkscape、3D CADはOpenSCAD、Meshmixer、SketchUp Make等のフリーソフト使用を前提に書かれている。3D プリンティングにかける対象物は18種類にも及び、その一端は表紙のデザインでご想像いただけると思う。それぞれどのソフトをどう組み合わせて、どのような操作で印刷にまでたどり着くか、丁寧過ぎない適度な説明で描かれている。日本の独習書はものすごく分厚いが、本書は200頁ぐらいしかない。グラフィックの占めるスペースは意外と少なくて、操作法に関する欧米の独習書って、こんなにサラッとしているのかとちょっと驚いたりもする。

元々は英語表現を覚えるために読み始めたわけだが、すぐに役立つとしたら、英語表現そのものではなく、やっぱり自分なりに3Dプリントに持って行くのに使える例題が収められている練習用教材としての用途の方が意味があるかもしれない。中に含まれている幾つかの事例は、今後自分がCADソフトに習熟してく過程で使わせてもらおうと思う。子供向けの学習指導用ガイドブックだが、僕ぐらいのド素人にはこれくらいから始めるのでちょうど良い。

また、日本ではAdobe Illustratorの無料版をお試しで使っていた僕が、無料版サービスの期間が終了して、ブータンでは使えない状態になっていたところに、Inkscapeのようなフリーソフトのダウンロードはひょっとしたら可能かもしれないと思い、少しだけ視界が開けた気もした。ファブラボ・ブータンのスタッフに訊いたところ、ファブラボでも2D CADソフトはInkscapeを使っている者が多いとのことであった。

◇◇◇◇

さて、本の紹介はこれくらいにして、最近報じられた新聞記事で、ひょっとしたらこういう本に描かれている3D CADデザインに習熟していくことが、これからのブータンの小中高生にも求められていくのではないかとちょっと思ったので、その記事も併せて紹介しておく。

全国教育政策素案まとまる
National education policy drafted
Kuensel、2018年5月21日、Yangchen C Rinzin記者
http://www.kuenselonline.com/national-education-policy-drafted/

【ポイント】
教育省が策定していた2018年全国教育政策の素案がまとまり、GNH委員会に提出された。この政策は、公立私立を問わず、また就学前教育から僧院教育、職業訓練、高等教育、生涯教育に至るまで、全ての段階での教育を対象としている。政策に含まれる幾つかの目標を以下で挙げる。

 教室当たりの生徒数は、初等で最大24人、中等で最大30人を目安とする。
 学校や教員は生徒やその父兄から手数料や寄付金を受け取ることは禁止。
 包摂的な災害管理や防災計画を学校ごとに準備せねばならない。
 学校にはゴ、キラ(民族衣装)着用で通学せねばならない。
 カリキュラムは、読み書き、計算、言語の基礎を構築できるよう設計される。
 カリキュラム実施にあたっての使用言語は英語。
 学校カリキュラムでは、科学・技術・工学・数学(STEM)科目を重視し、
  創造性や革新性を高めることを目指す。

 遠隔地や高地、寄宿舎付き学校の教員には、教員継続を後押しする意味でインセンティブを付与。
 教室当たりの授業数は、週18時間から22時間の範囲を目安とする。

◇◇◇◇

記事の断片的な情報からだけだと判断しづらいが、確実に言えることは、世界共通の学習到達度評価PISAへの参加を想定し、その評価の対象となるような読み書き、計算、言語能力の強化を重視しているという点と、昨年の今頃からだろうか、「STEM教育」というのが首相や教育大臣の口から度々飛び出すようになってきたという点である。今日ご紹介した本なんかは、役に立つんじゃないかと思う。ソフトを使いこなせる教員がいるとは思えないが。

本日の記事の主題は「STEM教育」なので、ここから先の記述はそこからの脱線となるが、この全国教育政策というのはちょっと注意して見ておきたい。①2年ぐらい前に喧伝されていた「プレミア・スクール」というのは結局どうなったのか、②昨年7月に突如首相が国会演説で明らかにした、「小学校教員は最低でも修士号取得」という政策のスケジュール感、③政策における保健体育や美術の位置付けはどうなっているのかなど、今までの経緯もあってちょっと気になるところである。

奇しくもこの日のクエンセルの1面には青年海外協力隊の方々がモンガル県タンロン初等学校で開いた保健体育授業のあとの食事の様子が写真に収められていた。この写真自体、クエンセルのHPではダウンロードできないのが残念だが、「ブータン青年海外協力隊30周年」の記念のTシャツを着た協力隊員の方が写真に写っている。同じ一面に、片やテスト科目重視の教育省の方針が出ていて、一方で写真の方は近年学校カリキュラムが出来上がったのに、教えられる先生が現場にあまりいないという問題点が簡潔に指摘されているのは、ちょっとした皮肉だ。

2018-5-18 Kuensel02.jpg
《タンロンでの運動会の模様です。上記記事とは関係ありません。》



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