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短期間で米の自給率は上げられるか? [ブータン]

ブータンの米自給率は47%
Bhutan is 47 percent self-sufficient in rice
Kuensel、2018年6月13日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/bhutan-is-47-percent-self-sufficient-in-rice/

【ポイント】
フィリピンの国際稲作研究所(IRRI)の専門家がブータンを訪問。南アジア地域において高まる主食穀物需要を、バングラデシュ、ネパール、ブータン3カ国でどう満たしていくのかを話し合う会合がティンプーで開かれた。

この中で、ブータンについては、耕作可能面積の28%が稲作に充てられている割に、米の自給率がわずか47%しかないことが指摘された。米自給率が低い理由の1つは、生産基盤の弱さであり、森林面積が大きいことと、野生動物による作物被害が稲作を困難にしている。もう1つの理由は、稲作に対するインセンティブが少ないことで、湿地は他の目的に作付転換されたり、宅地化されたりして、稲の作付面積が減っていることが指摘される。

米はブータン人の1日あたりのエネルギー摂取量の53%を占める。現状の稲の作付面積は5万3055エーカーで、米生産高は8万5090トン。土地生産性は1エーカーあたり1.68トンの計算。

IRRIの専門家によると、南アジア地域では全世界の米生産の31%、小麦生産の18%を占める。地域の食料安全保障を考える上で、米は最も重要な作物だという。高まる世界の食料需要に応えるためには、2035年までに米の生産を35%増加させることが求められるが、南アジア地域では、2050年までに20~26.8億人と予想される域内人口の増加に見合うために、食料生産は倍増させることが必要になるという。

しかし、米生産の倍増には課題もある。多収量品種の導入や灌漑施設の整備、適切な水管理、土壌肥沃度の改善・管理、病害虫管理等である。

◇◇◇◇

ブータンの米自給率、3年間で60%へ
Bhutan targets 60 percent rice self-sufficiency in three years
Kuensel、2018年6月14日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/bhutan-targets-60-percent-rice-self-sufficiency-in-three-years/

【ポイント】
13日から3日間の予定で開催されている南アジア地域協力連合開発基金(SDF)のプロジェクト提案書最終化ワークショップにて、SDFが今後進めようとしている農業セクター域内協力の概要が明らかになった。バングラデシュ、ネパール、ブータンの3カ国にまたがり、SDFが資金拠出して行われるこの協力で、ブータンは2019年1月からの3年間で、米の自給率を、47%から60%に引き上げることを目指すという。

そのためには、米収穫高を15%増加させ、休耕田の50%を耕作地に転換し、既存の圃場の10%において春期作を含めた二期作化を図ることが必要となる。

SDFのグラントの総額は1025万4000ドルで、3カ国はそれぞれ150万ドルの資金拠出を求められる。結果ブータンでの事業総額は397万ドルとなる見込み。プロジェクトでは特に作付パターンの改善による生産性の向上を目指すという。具体的には、SRI(System of Rice Intensification)の普及を図る。

◇◇◇◇

クエンセルで米と言えば、おなじみチェリン・パルデン記者の出番となる。このところ彼の記名記事が同紙のヘッドラインを飾ることが多く、ちょっとしたブームとなっている。彼が2日にわたってクエンセルの1面に載せた記事は、別のイベントのようにも見えるが、よくよく読むとどちらも隣国バングラデシュ、ネパールが登場する、同じ目的のイベントであるようだ。

それはともかくとして、47%だったものを3年間で13%も引き上げる計画が本当に可能なのだろうか。多収量品種を研究開発などやっていたら、3年で実用化まで持って行くのは難しいと思う。そもそも研究開発のような時間と手間がかかるような作業があまり得意でなくて、あるものをあるがままに売る発想が強いこの国で、研究開発はあまり重きが置かれて来なかった分野だ。

ましてやSRIはそれなりにきめ細かな管理が求められる筈である。この国では条植えが必ずしも普及して来ていないので、苗の間隔をそこそこ開けて、苗が相互に干渉しないようにする手法が、これまた3年で普及するとも思えない。SDFは資金提供はやってくれるが、専門家はフィリピンIRRIあたりからやって来るのだろう。農民の行動原理に対する洞察が得られるぐらいに参与観察を行うのならともかく、たまに来て宿題を渡してまた帰り、何カ月かして再訪して、宿題の履行状況を確認するというやり方を取るのであれば、再訪した時に初めて理想と現実の乖離に直面するのではないかと危惧する。

休耕田が増えてしまったのもそれなりに理由がある筈で、それを耕作地に引き戻すにはそれなりの力技が必要になるだろう。どうやるつもりなのだろうか。

これから2021年12月末までの3年間で何が起きるのか、見届けることはできない。なので、そのころにこのブログを読んでくれそうな方向けに、ベースライン情報として、この政府の方針については紹介しておきたい。

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