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ブータン公務員の明るくない老後 [ブータン]

退職後の生活設計
Planning life after retirement
Kuensel、2018年8月8日、Rinchen Zangmo記者
http://www.kuenselonline.com/planning-life-after-retirement/
2018-8-8 Kuensel.jpg
【ポイント】
王立人事院(RSCS)は8月7日、ティンプーで、有意義な引退生活に関するワークショップを開催。退職後の個人の心境の変化に備えること、退職前の政府職員に退職後に備えるよう意識啓発を図ることが目的。

キンザン・ドルジ元大臣は、引退するまでは毎日忙しかったので、退職後のことなど考えたことがなかったという。二度にわたって首相を務めるなど、この国に尽くすという意味では最高のキャリアを経て、同氏は2018年4月、56歳で引退した。最初の数カ月はリラックスして過ごせたが、その後だんだん不安感が増してきた。仕事している間は、仕事人の世界は全ての世界につながっていた。しかし、引退後はその世界が縮小し、家族と親戚のみになっていった。「永続するものは存在しないというのを学びました」―――運転手も、メッセンジャーも、豪華なオフィスも、個人秘書もいない。1日15時間も働いてきた人間が、何もしないで1日を過ごす日々に突然変わる。このフェーズを克服するには家族の支えが最も重要だという。また、劇的な生活の変化に対応するため、毎日を忙しく過ごせるよう、読書やアーチェリーに打ち込んだと元大臣。

その後行われたグループ討論で、参加者の1人は自身の経験をこう語った。彼は未だ退職まで数カ月あるが、ここ2、3カ月の間、眠れないことが多いという。退職後何をやったらいいのか考えると眠れなくなるという。別の参加者は、2015年の退職後の体験談として、「退職後は家にいろと言われましたが、それもしばらくすると、気持ちが落ち込んできました。」

元首席産業官だったプブ・ツェリンさん(60歳)は、このワークショップは非常に重要で、退職前あるいは退職直後の政府職員の意識啓発には役立つと述べた。退職後の生活設計を退職前から考えておくことは非常に重要なのに、それをしている政府職員はあまり多くないと指摘。退職後に訪れる大きな変化に全員がうまく対処できるわけではないが、準備はしておくことが必要と強調した。

ワークショップでは、退職後の生活設計と時間管理、健康な老後、資金計画、生活の大きな変化への対処等のトピックが話し合われた。アジア開発銀行(ADB)がワークショップ開催資金を拠出した。

◇◇◇◇

私事ながら、僕も先月55歳に到達して、役職定年を迎えた。従って、遅くとも今年度の終わりまでには、管理職という肩書は失うことになる。いわゆる「定年」とは違うので、肩書は外れても、大幅減給を呑んで組織に留まることはできないこともない。けれど、やりたい仕事ができるのならともかく、やりたくもない仕事も併せてやらねばならないのもどうかなと思い、この5年間ぐらい、55歳になってからの自分の身の振り方を考えながら過ごしてきた。

仕事以外の場で自分のアイデンティティを作るというのが1つの方策だろうと思い、そういう仕掛けをいろいろ張り巡らせてきたつもりだが、この記事を読むと、ブータンの政府職員ってそういう備えをしないで定年退職に向けてノーズダイブをしちゃうのかという印象だ。ここの人を見ているとそもそも予防的措置は頭になく、問題は起きてから対処するというのが典型的な行動パターンなのだが、ことが自分自身に関するものであっても、退職後のことは退職後になってから考えるということなのだろうか。

元首相のことを批判しているわけではないけれど、読書もアーチェリーも結構だが、ずっと前から始めて、続けていないと退職後の生活を支える日課としてはなかなか定着しないのではないかと思う。

ちょっと視点を変えて、運転手付き公用車も、秘書も何もない、自分のことは自分でやる、しかも費用節約して、というのであれば、ファブラボを利用してDIYなんてどうですか?あ、ファブラボなのでDIY(Do It Yourself)ではなく、DIWO(Do It With Others)なのだが。自分の生活に必要となるものは、自分で設計して自分で作ってみる。設計には時間もかかるがその作業に没頭できるし、必要ならラボのスタッフからアドバイスも得られる。そうやって自分で作れば達成感もあるし、自己肯定感もある。

今のファブラボ・ブータンの問題点は、皆が「これはいい」と思っていても、一般市民が気軽に足を運んで、DIYなりDIWOなりをできるような環境に未だないことである。政府高官が度々訪問して、その度にスタッフが施設の説明に追われている。僕もそんな場面に出くわしたことがあり、「一緒に製作やりません?」とお誘いしたのだが、「私は忙しいのでそれはできん」と速攻で拒否されてしまった。(僕も忙しくないわけじゃないですけど…。)でも、忙しくなくなったのだったら、本気でデジタルものづくりに時間を割いて、励んでみては如何でしょう?ブータンでは高給取りだった方々なので、ラップトップぐらいはお持ちだろうと思うし…。

もう1つ、この記事だけから想像できないのは、自分自身のビジネスを始めるという選択肢が、退職公務員にあるのかないのか、あるいは、NPO活動など、自分で立ち上げるか既存の活動に参加するなどする選択肢が、彼らにあるのかないのかという点だろう。ゴミ拾いなんて全国各地で子どもや若者が動員かけられて皆やっているが、シニアの市民が参加してますという活動は寡聞にして聞かない。社会的にも影響力のあった方々なので、ゴミ拾いではなくゴミを捨てないように仕向ける活動の旗振り役にはこれほどの適任者はいないと思う。

でも、退職後の人間関係は上下のないフラットなものになるので、若手の人をお茶汲みなどに使うのはやめましょうね(笑)。僕が日本で市民活動にちょっと関わって、嫌気がさしたことの1つは、大手企業で部長なり役員なりを務めた「偉かった」人が、引退後に参加した市民活動にそのマインドを持ち込み、僕らの企画にダメ出しする、お茶やコピーを指示するなど、明確な上下関係の認識に基づく言動が抜けなかったことだ。若い人がシニアの人々にそれなりの敬意を払っているこの国で、日本と同じようなことが起きるとは思わないけれど、それでも退職後の人には現役世代への心配りは必要だという点は変わらないと思う。若い人たちの背中を押してあげられる活動がいいですよね。

最後に、この記事でわかったことの1つとして、ADBはこういうワークショップの開催に、ポーンとお金を出せる仕組みを持っているらしいということだった。

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