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『大盗禅師』 [読書日記]

大盗禅師 (文春文庫)

大盗禅師 (文春文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2003/02/01
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
大坂落城から30年。摂津住吉の浦で独自の兵法を磨く浦安仙八の前に、ひとりの僧が現れる。妖しの力をあやつる怪僧と、公儀に虐げられる浪人の集団が、徳川幕府の転覆と明帝国の再興を策して闇に暗躍する。これは夢か現か―――全集未収録の幻想歴史小説が、30年ぶりに文庫で復活

人からいただいた本を読んでしまおうシリーズの第三弾は、再びの司馬遼太郎ものである。

文庫本といえども500頁超もある大作で、かつ時代背景をあまり知らない江戸・徳川家光の治世の頃の話で、これになおよく知らない由比正雪や鄭成功を絡めてきて、しかも幻想小説というような慣れないカテゴリーの小説だったので、読了するには1週間近くを要した。ゴールが見えてきたから最後の200頁はペース加速させることができたけれど、慣れるまでには時間がかかる作品だった。

結論から言うと、息抜きとして読むにはちょうど良かった。また、戦で政権を勝ち取った家康や秀忠と違い、三代将軍・家光は生まれながらにして政権を引き継ぐことが決まっていたわけで、豊臣家滅亡から30年経った頃の世相や外様大名、親藩・譜代大名の置かれた立場や役割、大坂城落城から未だに続いていた浪人の処遇の問題など、当時の空気を垣間見ることができる小説だと言える。

それを鄭成功の明復興に向けた反清活動と絡めるあたりは、ちょっと無理矢理感はあったけれど、日本で起きていたことと大陸で起きていたことを、同時代でくくることで理解がしやすくなるというメリットもちょっと感じた。また、僕は以前働いていた東京の職場が市谷山伏町から近く、由比正雪の江戸潜伏の地の周辺に多少の土地勘があったので、そのあたりでは作品を読んでてイメージはしやすかったところはある。

ただ、賛否両論は分かれる作品ではないかとも思える。僕にとっては小説は息抜き読書の対象だから、息抜きとして読む程度だったらいいが、なんだか盛り上がりには欠けるし、特に浦安仙八の迷走ぶりも、主人公としてのインパクトはそれほどない。結局由比正雪の謀叛も未遂に終わるし、鄭成功の明復興もかなわなかったわけだし、これらを素材として小説を組み立てるのも大変だっただろうなと思ってしまう。

タグ:司馬遼太郎
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