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『イノベーション戦略の論理』 [読書日記]

イノベーション戦略の論理 - 確率の経営とは何か (中公新書)

イノベーション戦略の論理 - 確率の経営とは何か (中公新書)

  • 作者: 原田 勉
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/03/24
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
日本経済再生の鍵とされるイノベーション。だが、膨大なお金と時間をつぎ込んでも革新的な技術やサービスが生まれるとは限らず、現実には失敗に終わる可能性が高い。イノベーションを生みやすい組織にするにはどうしたらよいのか。本書では、米国流コーポレート・ガバナンス論に基づく短期的な業績の重視がむしろマイナスであることを指摘し、長期的にイノベーションの成功確率を高める経営戦略を具体的に示す。

インターネットにつながらない場所をほっつき歩いていて、1週間ご無沙汰してしまっております(笑)。

ただ、ネットにつながらないということはネットサーフィンの時間をそれ以外のことに充てられるということでもある。だから、ブログ更新を疎かにしている間に、またも積読蔵書圧縮にはかなりの進展があり、今今週3冊目の本を読んでいるところである。

ということで、旅のお供に携行した3冊のうち、最初に手にしたのはこの本。「イノベーション」という言葉に惹かれて、衝動買いしたのだが、最初の数ページで自分が求めていた内容とはかなり違うと思い、加えて難解だったので挫折。その後今日に至っている。

それを今回は真っ先に読むことにしたのは、9月に『下町ロケット ゴースト』『下町ロケット ヤタガラス』を読み切ったからである。今の勢いなら難解な文献でもなんとかやっつけられるのではないかと考え、再挑戦を企てた。確かにある程度の集中度は持って読み始めることはできたものの、やっぱり途中で集中が途切れ、読了した今となっては本書から何を得たのかがわからなくなってしまった。

途中はまずまずだった。『下町ロケット』に出てくる、佃製作所と帝国重工を対比させれば、本書の著者が言いたいことはなんとなくはこういうことなのかなというのがイメージできたから。ただ、所々すごく断定的な記述が出てくるので、なんでそこまで言えるのかがにわかに理解できず、戸惑うことが多かった。著者なりにやさしくかみ砕いて書いて下さったのだと思うけれど、「これくらい読者は知ってるだろう」というレベル感に僕がついていけてなかったということなのだろう。悔しいけど。

自分なりの理解に基づいて以下論点を述べてみると、要するになんかやってればイノベーションは起きるというものではなくて、イノベーションが起きる確率を上げるための取組みも必要だよねというのが著者の問題意識で、①探索・試行の領域(ドメイン)を予め設定すること、②試行回数をできるだけ多くすること、③各試行の制度を高めること、④探索・試行の方向性を定める組織のメカニズムの是正、などを行っていくことが必要だと言われているのかなと思う。

著者は、イノベーション確率を高めていくためのマネジメントを「組織能力構築経営」と呼び、この確率管理が経営上最も重要な課題だと主張している。特定の企業活動を内部調達するのか外部委託するのかという内製・外注問題についても、このイノベーション確率最大化基準によって決定すべきだという。

『下町ロケット』では、帝国重工の財前がロケットバルブやトラクターのトランスミッションの開発を佃製作所に外注しようとするのに対し、同社の内部にはバルブやトランスミッションの内製化にこだわる反対勢力もいた。財前は佃製作所のイノベーション確率を買っていたが、社内の反対勢力は天下の帝国重工が下請けに任せるのは恥だとばかりに内製化にこだわっていた。

先に述べたような本書の全体の枠組みを述べた箇所などはなんとなくわかった気がしたが、各論に入っていくと読みづらい箇所が多く、体調的にも集中できない時もあったので、読み終わった時にはただただホッとした。自分の今後の行動指針になりそうな示唆はイノベーションに関する部分にはさほどなかったが、1つだけ、身につまされる記述があったので最後に付記しておく。

技術開発に直接従事しない経営者にとって必要な知識の地図は、たとえ専門知識、リテラシー知識がなくても、獲得可能なものである。彼らに求められるのは、枠組知識であり、専門知識やリテラシー知識ではない。ここを明確に認識しなければおかしなことになる。専門知識は、若手や部下に任せ、自らは枠組知識の習熟に努め、それによって大局的な立場から経営判断をしていかなければならない。この枠組知識は、リテラシー知識、専門知識よりも習熟は容易だ。しかし、それは意識的に努力しなければ決して獲得することはできない。
 いままで数多くの経営者と意見交換する機会があったなかで、特に印象に残っているのは、優れた経営者ほど現場を知らないという事実である。より正確にいえば、「現場を知らないことを知っている」、つまり自分の知識の限界をわきまえているということだ。(p.144)
―――嗚呼、身につまされる…。
タグ:原田勉
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