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『大坂堂島米市場』 [読書日記]

大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済 (講談社現代新書)

大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済 (講談社現代新書)

  • 作者: 高槻 泰郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/07/19
  • メディア: 新書
内容紹介
海外の研究者が「世界初の先物取引市場」と評価する江戸時代、大坂堂島の米市場。米を証券化した「米切手」が、現在の証券市場と同じように、「米切手」の先物取引という、まったくヴァーチャルな売り買いとして、まさに生き馬の目を抜くかのごとき大坂商人たちの手で行われていた。このしばしば暴走を繰り返すマーケットに江戸幕府はいかに対処したのか? 大坂堂島を舞台にした江戸時代の「資本主義」の実体を始めて本格的に活写

今、歯の治療のためにバンコクに来ている。でも、結果的には歯の治療は断念した。僕の右上奥歯はこの半年以上の間、断続的に悲鳴を上げており、その度に鎮痛剤を飲んでごまかして仕事してきたが、バンコク病院の歯科センターでは、どの歯が痛みの原因になっているのか特定できないと言われた。それを特定するにはかぶせてあるものをいったん外す必要があるが、それをやるには滞在日数が短すぎるという。僕のブータンでの残りの滞在日数を考えたら、あと4カ月少々我慢すれば本帰国して日本で治療が受けられる。だからバンコクでの治療は断念した。

バンコク病院は日本語が通じると言われてわざわざ予約したが、日本語通訳は追加費用がかかると言われた。結局通訳料をケチった僕は英語で症状を説明したが、これならどこで治療やっても同じではないか。勿論、バンコク病院の施設やサービスは素晴らしいと思うが。

こうして二度にわたって訪れたバンコク病院歯科センターでの治療は肩すかしに終わり、その間、待ち時間を利用して次なる読書にいそしんだ。読んだ本は3カ月以上前にキンドルでダウンロードしてそのまま放置していた1冊。今年年初に日本証券所グループ『日本経済の心臓 証券市場誕生!』を読んでた僕としては、大坂堂島の米市場の取引実態について紹介された今回の本は、絶対外せない1冊であった。

江戸時代の堂島がそんなに凄い市場だったのだというのは、『証券市場誕生!』を読んで知っていたけれど、そこでの説明は割とサラッと書かれていたし、東京証券取引所の博物館にある説明も、『証券市場誕生!』のベースとなるほとんど同じような記述だった。それを、堂島米市場だけを取り上げて300頁以上のボリュームで描いたのだから、面白くない筈がない。相当な勉強になる内容だ。

堂島での取引の実態に始まり、領国での大名や農民の行動、幕府による市場との向き合い方、幕府と大坂町奉行所の対応の違い、市場取引に参加する商人の行動パターン等、考えられるあらゆる側面から米市場を描いている。そこで出てくる商人の中には、NHK朝ドラ『あさが来た』のモデルとなった加島屋も登場する。朝ドラを見ていてもよくわからなかった「両替商」という仕事も、本書を読んだらイメージがしやすくなった。

僕は歴史オタクを自認しているけど、実は江戸時代のことにはあまり詳しくない。江戸の下水道網とか、寺子屋とか、調べれば相当面白かった時代だと自分でもわかっているのだが、なんだか気が進まずに放ったらかしにしてここまで来た。堂島米市場だって、日本ではあまり知られていなかったが、世界の研究者の間では「世界初の金融先物市場」として知られているのだという。そういうのを聞くと、今の金融市場取引の制度設計のヒントは僕ら自身の歴史の中にあるのだというのがよくわかる。歴史を勉強するのはだから重要なのだとも。

僕も「経済史」といったら、大学2年生ぐらいのときに一般教養科目として受講したぐらいで、でも面白かったという記憶もないが、本書を読んでいたら「歴史って結構面白いかも」と改めて思ってしまう。本書は薦める。こういう研究テーマの研究者がいても全然OKである。こういう研究には公費をつぎ込んだって許せると思う。

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