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『「つくる生活」がおもしろい』 [持続可能な開発]

「つくる生活」がおもしろい ―小さなことから始める地域おこし、まちづくり

「つくる生活」がおもしろい ―小さなことから始める地域おこし、まちづくり

  • 作者: 牧野 篤
  • 出版社/メーカー: さくら舎
  • 発売日: 2017/01/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
いま生き心地のいい小さな社会が続々と各地で生まれている!人が戻りたくなる居場所をつくる!下り坂社会のただなかにあっても、人が心地よく暮らせる社会、地域をつくるための模索が全国各地でなされている。その最前線をサポートする著者が示す、これからの生き方!

僕の放浪生活も今日が最終日。この予約投稿がブログに掲載される頃には、僕はブータンに戻る機中の人となっているだろう。歯の治療はかなわなかったけど、おでんの具材は調達できたし、英文書籍の原稿チェックもできたし、何よりもメチャ読書ができた。美味しいものを食べて過ごしたわけじゃないが、積読解消はある程度進み、相当なインプットができたと思う。

とはいえ、本書の「つくる生活」という釣り文句にはまんまと引っかかったと思う。また、アマゾンの内容紹介には「人が心地よく暮らせる社会、地域をつくるための模索」の最前線に出向きサポートしてきた著者が、「その現場(長野県飯田市、千葉県柏市、北海道富良野市、愛知県豊田市など)をレポート」とあるが、これも釣り文句であり、本書のタイトルと第1章はあまり合っているとは思えなかった。前置きばかりが長々と語られた後、現場のレポートが出てくるのは第3章。長野県泰阜村、下條村、千葉県柏市と続き、さらには岐阜県の十六銀行の高齢者セミナー、愛知県豊田市の里山プロジェクト、東京都世田谷区、長野県飯田市の飯田OIDE長姫高校、北海道富良野市の「心がふるさとに向くキャリア教育」と続く。各々の取組みは面白かったし、教育学者が地域おこしに取り組むとはこういうことなのかと理解もしやすい。

特に感銘を受けたのは、僕も勤めていた十六銀行で、こんな取組みが行われていたというのを知ったこと。それに、「教育課程を学校で完結させるのではなく、地域コミュニティと一緒になって子どもを育て、子どもに豊かな社会体験を保障することで、創造性豊かで、人とともにこの社会を作る主人公を育成しよう」という取組みなら政治家も研究者も皆が注目するあの離島の取組みを相対化して、どこでもそうした取組みが行われているというのを見せようと意識されている点だった。

仕事上はそうした有名な地方創生の取組みとは仲良くしていかなければならない立場なのだけれど、縁もゆかりもない土地より、縁もゆかりもある地方の創生の方が馴染みもあるし、取り組んでいる方々の顔も想像しやすい。思いの入り方が違うのである。そこは多くの人にご理解いただきたいところだ。僕だって自分の老後を考えたら、自分の生まれ育った地域の社会づくりに何かしらの貢献をしたいと思うのである。

積読蔵書でもなかった本書をわざわざ今回ダウンロードして読み始めた理由については詳述しないが、ブータンに戻ると早々に行われるイベントに向けた頭づくりとして、ストライクゾーンに見事に収まる内容の本だったと思う。多分もう一度ぐらいはざっと読み直して、その上で週明けを迎えることにはなると思う。地域における小学校の果たす役割、公民館の役割などが本書を読んでの僕自身のヒットしたポイントなのだが、あまり長い引用は控えたいと思う。

強いて言うなら、首都一極集中に関する著者の論点は示唆に富んでいると思うので最後に引用しておく。

東京に若者が出ていくことを抑えこもうとするよりは、地方に残っている若者たちがどのような生活をするのかを考えた方がよい。事実、多くの若者たちはその地方の中核都市、たとえば北海道なら札幌、東北なら仙台、九州なら福岡に出てきているのであって、これらの都市はすでに「人口ダム」の役割を十分に果たしている。そして、たしかに、対人口比の若者比率は、札幌も仙台も福岡も、東京よりも高くなっている。つまり、若者の人口密度は、東京よりも札幌や仙台、福岡の方が高い。
 その結果、若者たちが集まるところに新しいサービスが生まれ、新しい経済が生まれて、それがまた新しい文化を醸成して、さらに若者を惹きつけるという好循環が生まれている。雇用があるから若者が集まるのではなく、若者が魅力に感じる文化があるから若者が集まってきて、若者が集まるから経済が動き、働き口ができてくるのだ。

つまり、鍵は「カネ」ではなくて、「文化」であり、それを醸し出す「つながり」なのです。

 乗り気がしない、というのが、まちづくりにとっては大敵なのです。ですから、やったら楽しかった、なんだか楽しそう、というのがまずは大事です。
 楽しいというのは、単に消費的な楽しさということではありません。むしろ、本当に楽しいと感じるのは、友だちや仲間と一緒になってやって、やり遂げた、完成した、という達成感と、自分もこんなことができるんだ!という驚きと、仲間から認められているという肯定感、そして仲間を自分も認めているという相互の承認、そういうものが重なりあって、生まれるきわめて社会的なものです。
 こういう楽しさを一度覚えてしまうと、それが自分を駆動するようになって、また次もやってみたくなってきます。

「つくる生活」という釣り文句にまんまとやられたけれど、実際にものをつくる生活という意味においてもこの論点は有効だと思う。こういう楽しそうな場所、若者が魅力に感じる場所がティンプー以外の地にも興ってくれば、ティンプー一極集中も、地方-都市人口移動も、今のブータンでなんとかせねばならないと皆が言う課題について、取組みの糸口が見えてくるような気がする。

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