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『ブータン:国民の幸せをめざす王国』 [ブータン]

ブータン: 国民の幸せをめざす王国

ブータン: 国民の幸せをめざす王国

  • 作者: 熊谷 誠慈
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2017/07/13
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
ブータンの国民は実際に幸福?ブータンの仏教と王制はどうなっている?ブータンは戦争をしたことがない?ブータンのめざす近代化とは?ブータンと日本の関係は?知れば知るほど魅せられる国ブータンの真実の姿。

今、このブログは日本に戻ってきて書いている。最近の読書日記で、「他の積読図書は読む時期を決めているので」というような趣旨のことを書いたが、今回1年ぶりに日本に戻るにあたって、積読にしてあった本を3冊ほど携行しており、折を見てどんどん読んでしまうつもりでいる。今回はその第1弾。

ブータンに来てから2年8カ月にもなるが、意外なことにあまりブータンについて書かれた本を読んでいない。そもそもあまり冊数が多くないこともあるけれど、ある程度駐在生活が長くなってから読んだ方が「ふむふむ」と腑に落ちるところもあるのではないかと考えたからだ。

この2年8カ月の間に新たに出版された本もある。この本、去年の秋篠宮眞子様のブータンご訪問と時期が近いので、出版社の営業サイドからすると相当いいタイミングでの刊行だったに違いない。部数どれくらい出てるのかわかないが、きっと結構売れただろう。僕もミーハーで、去年日本に帰った時に1冊購入してこちらに持ってきてはいた。でも、編著者の熊谷先生には申し訳ないのだが、第1章で挫けてしまい、1年以上積読にしてしまった。

購入から1年経過して、半ば必要にもかられて今回は読んでみたけど、意に反して(失礼)、スラスラ読めた。理由の1つは、この1年の間に、この本の執筆者(というか、一般市民向け連続講座の講師の方々)の1人と新たに面識ができたことや、本書の中で講師の方々が頻繁に言及されている、東部の地理に多少詳しくなったこと、僕は僕なりにブータン人の若手起業家との交流機会が増えて、そこから学んできたこともあったからである。

2017年がブータンと京都大学の交流開始60周年だったというのも知ってはいたが、どうやって交流が始まったのかとか、この60年の間に、どんな方がどのように関わったのかまではよくは知らなかった。先日、JICAはブータン青年海外協力隊30周年の記念式典をティンプーで行ったが、1988年7月に初代の協力隊員を派遣できたのが1986年の国交樹立直後の日本政府の外交ツールだったというのも、時系列的に多分そうだろうと思ったけれど、本書でそれが明確に述べられていたので僕自身にとっても勉強になった。おそらくこのブータンと京大の交流の歴史について書かれたチャプターが、最も面白いのではないかと思う。これがあるだけでも本書は読む価値がある。

また、地方の某大学を僕が訪問した際に、学部長から言われたことがにわかには理解できなかったが、本書を読んでそこで学長が話しておられる内容を聞いたら、「あ、そういうことだったのか」とわかったこともあった。そういう点で、僕の駐在生活の復習の意味で、今回本書を読んだのは非常にタイミングが良かったと思っている。

一方で、本書を読みながら、こうして短期滞在ながら時々ブータンを訪問される方々には、短期でいろいろ訪問して話された内容が、ある程度長期で滞在している僕らのような立場の者にも後で影響が出てくるという点、考えてほしいなと思う記述もあった。詳述すると誰のことを言っているのか特定されてしまうが、僕が最近訪問した地方のある教育機関で、「あの時、〇〇先生にこれこれを頼んだのだが、その後返事がない。忙しいんだろうと思うが、あなたなんとかしてくれないか」と言われたことがある。そんなこと、あなた面識あるんだから直接連絡とってみればいいじゃないかと思うのだが、同じ日本人ならなんとかしてくれるだろうという気安さで、身近にいる日本人にポンと言ってしまうところもあるのだろう。

日本の研究者が調査地に入ってそこの人に頼まれたことに全部応えるのは難しいだろうとは理解しているが、それを音沙汰なかったからといって後からたまたまその調査地に立ち入ってしまった僕がフォローさせられるというのもどうかなという気がする。また、たまたま調査地で偶然お目にかかった先生もいらっしゃるが、そういう時には、「ちょうどいいところで会った、相談がある」と唐突に言われるが、そういう対面で話す機会がなかった場合は、「どこどこでこんな話をした。なんとか実現させたいが、一緒に考えてくれないか」とメールや他の人づてでも聞いたことは一度もない。

物事を見る際にちゃんとした枠組みを持っておられて、僕らが何気なく見ていたもの(あるいは見てなかったもの)に新たな意味をつけて下さるという点で、僕は研究者の方々を尊敬している。しかも、それをこれだけわかりやすい形で話して下さっている。本書はブータン研究者としては多くの人が知っている一線級の日本人研究者を揃えておられるというので非常に価値がある1冊になっていると思う。また、これを読んでみて、日本人研究者がまだ見ておられないブータンの今の姿というのもあるというのに気付いた。きっとそのあたりが僕がもし日本で本を出す際には狙い目のニッチになってくるのだろう。それがおぼろげながらわかったという点で、今読んで本当に良かったと思っている。

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