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今後見られる教育セクターの変革 [ブータン]

ブータンでは、2年に1回、「全国教育会議(National Education Conference)」というのが開催される。2017年1月第2週にプンツォリンで第18回全国会議が開かれた後、第19回は2019年1月だろうと勝手に予想していたら、2018年12月24日から28日まで、同じくプンツォリンで開催された。暖かい南部のプンツォリンは、冬場のカンファレンスで大繁盛だ。プンツォリンまでの移動時間は3.5時間にまで短縮されたとはいえ、やれ大会が終了したからレセプションに来いと招待を受ける外交団とか開発協力機関とかも大変だろう(苦笑)。なんで12月下旬だったか、そのタイミングを考えると、新政権発足後の最初の国会の会期が1月2日から24日までと決まったことが多分影響しているのだろう。

確か前回の決定事項もこのブログではご紹介していたと思うので、今回もそれを踏襲して、メディアで報じられた主な決定事項をここでまとめてご紹介しておく。


◇◇◇◇

ゾンカ語教員、571人不足
Education ministry short of 571 Dzongkha teachers
Kuensel、2018年12月25日、Rajesh Rai記者(プンツォリン)
http://www.kuenselonline.com/education-ministry-short-of-571-dzongkha-teachers/
2018-12-25 Kuensel01.jpg
【ポイント】
12月24日に始まった第19回全国教育会議のオープニングセッションで教育省関係者が述べたところでは、ゾンカ語(国語)教員が現在571人不足しており、第12次五カ年計画期間中に、このギャップを50人にまで縮小するのが目標だという。これは、第18回大会で決議された、ゾンカ語は専任の教員によって指導が行われなければならないとする方針の影響。クラスPP(日本の幼稚園年長組に相当)からクラス3(同小学校3年生相当)まではこれまでゾンカ語が教科としてはなかったが、前回大会ではこれをカバーし、ゾンカ語はクラスPPからクラス12(同高校3年生相当)まで必須となった。取りあえず小学校低学年のクラス担任の一般教員(General Teacher)がゾンカ語も教えることでしのいできた由。

◇◇◇◇

クラスPP~3のテスト廃止、2020年から
No examinations for Classes PP to III from 2020
Kuensel、2018年12月27日、Rajesh Rai記者(プンツォリン)
http://www.kuenselonline.com/no-examinations-for-classes-pp-to-iii-from-2020/
2018-12-27 Kuensel01.jpg
【ポイント】
これは見出しの通り、クラスPPからクラス3までは、学業成績評価を試験の成績で決めないという決定。但し、そのためには小学校教員が試験に代わる生徒評価の手法を身につける必要があるので、2020年2月からの施行に先立ち、2019年の冬休み中に、評価能力強化研修を実施するとのこと。

◇◇◇◇

2019年度新学期より、土曜授業廃止
No classes on Saturday from 2019 academic session
Kuensel、2018年12月28日、Rajesh Rai記者(プンツォリン)
http://www.kuenselonline.com/no-classes-on-saturday-from-2019-academic-session/
【ポイント】
これも見出しの通り。教員は月曜日から金曜日までは集中して教務に取組み、土曜日は自身のスキルアップに充てよとの意図。また、スポーツイベントや補習授業、式典などの課外活動は学校の裁量で土曜日に開催せよということらしい。ちなみに、この方針は新政府与党DNTの選挙公約にも掲げられていたこと。但し、1日7コマ(午前4、午後3)になっている平日の時間割をさらに窮屈にさせるため、教務に集中どころか過酷さを増すというので、現場サイドには複雑な思いも。

◇◇◇◇

クラス10でのカットオフは据置き
Class X cut-off point staysn
Kuensel、2018年12月29日、Rajesh Rai記者(プンツォリン)
http://www.kuenselonline.com/class-x-cut-off-point-stays/
【ポイント】
与党DNTが選挙公約で掲げていたクラス10(日本の高校1年生に相当)でのカットオフは当面見送りとなった。DNTは、学校の成績が振るわなかったという理由で、クラス10の生徒がクラス11、12に進級できない事態は避けるべきとの立場であったが、現状、教室のスペースや教員数、その他教育インフラの制約もあって、クラス10の生徒全員を進級させるのは難しいと判断した。

他方で、同大会では、2020年新学期より、クラス11、12について、技術教育(TVET)という「第四の途」を用意し、クラス10でカットオフの対象となった生徒も、TVETを選択すればクラス11に進級できるとの条件を付けた。私立のTVET教育機関に奨学金給付とともに受け入れてもらうという一種の官民連携スキームを適用するという。勿論、クラス10のカットオフ対象とならなかった生徒でも、希望すればTVET教育コースに進むことも可能。その上で、クラス12修了時の卒業証書は両コースで同格とし、高等教育機関に進むことは可能となる。

受入TVET教育機関としては7校が認定される。これらの機関は、既存の職業訓練校とは異なる制度枠組みに基づいてカリキュラムが決められる。

◇◇◇◇

以上がこれまでに報じられていることである。前回の全国会議とそれ以降の教育省がやってきていたことをフォローしていた人間としては、気になるポイントが幾つかある。

第1に、ここ数カ月教育省がオーストラリア人ボランティアの手を借りて進めてきていた「インクルーシブ教育」の10年ロードマップの話がこの会議でどう位置付けられたのか。

第2に、前政権時代の大きな柱となっていた「セントラルスクール制度」の取扱い。取りあえずは制度維持で第12次五カ年計画期間中にさらにセントラルスクール指定校を増やし、施設拡充して、そこでジェンダーや障害にも配慮していくということのようではあるが。

第3に、これも前政権時代はやたらともてはやしていたけど新政権は政権公約でひと言も言及していない「STEM教育」の扱い。チラッと報じられているところでは、STEM教育に特化した「プレミアスクール」を取りあえず1校は開校するというのが決議されたらしい。僕自身は「プレミアスクール」を1校に特化して理科のエリート育成を進めることにはあまり賛成ではなかったので、この1校指定を恒常化しちゃうのかどうかは気になる。

20181229_124143.jpg
余談だけど、同じ12月24日から1週間、ファブラボ・ブータンがティンプー市内のスタートアップ・センターを会場に、超廉価ラップトップPi-Top(パイトップ)とプログラミングソフトMicro:Bitsを用いたワークショップを主催していた。参加していたのは冬休み中の大学生、主にプンツォリンのCSTやデオタンのJNECから来ている理系の学生たちだった。コーディングを習得した学生が、「大学に戻るよりもこれで仕事できたら面白い」なんて言ってる声を聴くと、全国教育会議で議論されていたTVETコースとかSTEM教育とか、具体的に動きそうな気は確かにする。大学行くよりもIT学んでとっとと起業するというキャリアパスが生まれてきそうだ。2017年7月にファブラボができたことは、確実にその起爆剤になったと思う。

労働省と教育省が共同で、全国15カ所にファブラボを作りたいなんてことを第12次五カ年計画のフラッグシッププログラムに掲げているやに仄聞するが、それとも連動する動きだろう。

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