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今後見られる教育セクターの変革2 [ブータン]

教育省、STEM教育専門プレミアスクール開設へ
Education ministry to establish a premier school for STEM
Kuensel、2019年1月1日、Rajesh Rai記者(プンツォリン)
http://www.kuenselonline.com/education-ministry-to-establish-a-premier-school-for-stem/
【抄訳】
教育省は、先週プンツォリンで開催された第19回全国教育会議で、科学、技術、工学、数学(STEM)教育のためのプレミアスクールを開校することを決定し、開校に向けた具体的な詳細計画策定調査を実施することになった。

会議期間中行なわれた現状報告では、ブータンの生徒の数学と理科の平均点が先進国よりも悪いことが指摘された。教育省学校計画調整課(SPCD)のイシ・レンドップ職員によると、英語、数学、理科の3教科について、2008年に当時の王立教育評議会(REC)が18校のクラス5、クラス7、クラス9の生徒を対象に行った標準診断試験の結果から、生徒の学習成果は、学年レベルの最低限の期待値を下回っていることを指摘し、生徒の多くが中核的概念を理解できず、学年や科目を超えて現実の状況に知識を適用できないと述べている。「生徒たちは、数学や識字能力を日常生活での基本的な作業に生かすことができませんでした。」

クラス10の理科と数学の学習効果に関する発表では、2017年の理科で80点以上を獲得した生徒はわずか3%しかいなかった。2016年も同様であった。数学については、80点以上を獲得した生徒は、2016年の6%から、2017年には5%に減少していたという。クラス12の学生を対象に行われた調査では、数学については、2016年の9%から、2017年には6%に低下した。

一方、会議参加者によれば、ブータンはSTEM教育を開始する準備ができていると述べた。第12次五カ年計画期間中に開始すべきだとの声も上がった。STEM教育を開始するには、クラス7から12、クラス9から12、クラス11から12の3つの選択肢があるという。

学校教育局の首席教育担当官は、STEMだけでなく、アートも含めてSTEAM教育が考慮されるべきだと述べた。「アートも同様に考慮されるべきです」と彼は言う、今日の傾向では、最近クラス11でアートを選ぶ子供の数が増えていることを示している。さらに、同担当官は、 その他、言語、歴史、経済学のような重要な科目でも、生徒のパフォーマンスはよくないと付け加えた。

◇◇◇◇

第19回全国教育会議の報道は先週で打ち止めかなと思っていたら、週が明けた1月1日、さらにもう1つの記事がクエンセルの紙面を飾った。前に「今後見られる教育セクターの変革」の最後にチラッとだけ触れたSTEM教育専門のプレミアスクールの開設に関する続報だ。

前にご紹介した時には、どうやらSTEMプレミアスクールは最低1校開設されるらしいというのだけ記事では触れられていたが、どのような議論が全国教育会議の場でなされたのかは、今回の記事の方が詳しい。

前回のブログポストの中でも、僕は「プレミアスクール」を1校に特化して理科のエリート育成を進めることにはあまり賛成ではないと述べているが、僕の素性をご存知の方であれば、2017年に、僕が日本のスーパーサイエンススクール制度の経験を踏まえてプレミアスクール慎重論を展開する論文を発表しているのはご存知かと思う。日本のスーパーサイエンススクールのコピーはブータンの状況には合わない、やるならブータン独自の方法論を自ら導き出すべきだという主張だが、エリート校の恒久化がこの国の目指す途なのかという点については疑問を投げかけている。

なので、この報道に関しては、やや複雑な気持ちで受け止めていた。

しかし、報道されてから数日置いてみて、ちょっと違った気持ちも湧いてきた。

もし、このSTEMプレミアスクール指定校が、ティンプーやプンツォリンではなく、東部に開設されるとしたらどうだろうかと。東部の衰退にこれだけで完全に歯止めがかかるとは思わないけれど、こういう学校が東部にあって、そしてその学校がそのSTEMを周辺地域に生かすプログラムを展開してくれたなら、東部にとってはポジティブなインパクトを与え得るのではないかと思えてきたのである。

昔、王立ブータン大学(RUB)傘下のカレッジを全国に分散配置されたことがあった。今でも公務員養成に最も良績を残すシェラブツェカレッジは東部タシガン県にある。ブータンに2校ある工科大学も、CSTは南部プンツォリン、JNECは南東部の国内移動だと3日かかるサムドゥップジョンカル県にある。2017年に開校したICT専門のゲルポシンカレッジは、その名の通り東部モンガル県にあるが、モンガルの町からはかなり離れている。労働人材省傘下の職業訓練校(TTI)も、全国に7校が分散配置されている。

従って、STEMプレミアスクールも、ブータンのことだから地方に配置しようという方針が打ち出される可能性はかなり高いと思う。

でも、今のTTIのように、周辺地域の開発課題に対して積極的にソリューションを提供していこうという取組みを取らない場合は、その地域にプレミアスクールがあっても、消費面での経済効果しか期待できないかもしれないので注意は必要。しかし、そのSTEMの知識を社会に生かす取組みが積極的に取り入れられれば、これは相当地域社会への裨益効果が大きい。今のRUB傘下のカレッジの中で、シェラブツェカレッジだけはこの方向を今も指向しているように見える。

さてどうなりますやら。教育省は別途技術教育(TVET)専門のプレミアスクールも開設予定だと仄聞する。外野の人間にはTVETプレミアスクールとSTEMプレミアスクールの違いがよくわからないが、TVETの方は確実に地方に設置されるだろう。問題はSTEMプレミアスクールの立地である。

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