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『ものがたりのあるものづくり』 [シルク・コットン]

ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命

ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命

  • 作者: 山田敏夫
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2018/11/08
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
店舗なし、セールなし、生産工場を公開、価格は工場に決めてもらう―アパレル業界のタブーを破って日本のものづくりを変えた革命児は、「無力」だからこそ仲間を巻き込み、古い常識を飛び越えられた。つくる人、売る人、買う人、誰もが「語りたくなる」メイド・イン・ジャパンの新しいものづくりがここに!

先週末、国際フェアトレードデーのイベントを傍聴していて、登壇された方の多くが、「安いけれど1シーズン終わると着なくなるシャツ」と「少々高いけど愛着があって長く着続けられるシャツ」との対比で論じられていた。

この議論は僕には非常に腑に落ちる。いつも妻には「早く捨てなさい」と言われてしまうが、いつどこでどういう形で手に入れたのか鮮明に覚えているような衣類は、10年経とうが20年経とうが、捨てられない。僕が持っている最古の衣類は、30年前に院生やってた頃に買った、母校のパーカーである。多少色落ちしてても、これって捨てがたい。襟や裾が擦り切れてきたり、穴が開いたり破れたりして、ようやく「もうそろそろ」となるのである。逆に、安くてある程度の数を必要とする肌着や下着、ソックス等ははるかに回転が速い。

妻の名誉のために付言しておくが、妻には「いい大人なんだから、もっといいものを着ようよ」とも言われる。曰く、人は着ているもので評価されるのだと。「もっといいもの」の基準が金額の多寡なのが若干腑に落ちないけれど、言われていることはわかっているつもりだ。要はその金額を正当化できるようなストーリーがその製品にくっついていて、カネを出す側がそれに共感できるかどうかなのだろう。

自分が身にまとうものにどのようなこだわりを持ち、自分をどう見せていくのかは考えていかないといけない。いい年齢だし、いつまでもファストファッションではなく、何を買うのかには一定の基準を設けて行くべきだと自覚もしている。

そういう時期にこうしたタイトルの本を読むことは、非常に共感を覚える。僕自身は「メイド・イン・ジャパン」というところへのこだわりはさほどでもないので、ファクトリエで買うかと訊かれれば、そこまでは考えていないのだが、この著者である創業者の方の思想と足取りには説得力がある。

ビジネスシャツでも1枚購入して、実際に着てみたら、この創業者のこだわりの部分はもっとリアルに感じられるようになるのだろう。次、考えてみようかな。

また、本書を読みながら、著者は作り手の方々のこだわりをジャパンブランドとしてものすごく強調されているが、それをつなぎ合わせて今日に至るまでに著者と創業チームが払った努力の部分も、すごくサラッと書かれているけれども、同じくこのブランドを構成するストーリーになっているようにも思った。文体に暑苦しさがないので、試行錯誤の時期も笑い話のような軽妙な語り口になっているけれども、本人は謙遜されているけれども、全国各地にある何百件もの作り手さんの作業場を全て回るというのは、そんなにできることではない。そうして足で稼いだ知見が、この企業にとっての非常に貴重なデータベースとなっている。

日本のサクセスストーリーは、こうした努力と試行錯誤の積み重ねの上に成り立っている。簡単につかめてしまうような成功には、こういう重厚感のある物語はなかなかくっついていない。そこのところは、3月まで自分が駐在していた国ではなかなかわかってもらいにくかったなと思う。日本の企業を紹介して欲しいと言われることも多かったが、紹介してもどうしても埋めることが難しかったであろうギャップだった。

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