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『名字と日本人』 [仕事の小ネタ]

先祖からのメッセージ 名字と日本人 (文春新書)

先祖からのメッセージ 名字と日本人 (文春新書)

  • 作者: 武光 誠
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/11/20
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
数え方にもよるが、日本人の名字はなんと30万種近くにもなるという。こんなに厖大な数の名字がどうしてできたのだろう?その中でも「佐藤さん」「鈴木さん」たちが多いわけは?徳川家康はなぜ「源朝臣家康」なのだろう?身近でありながら疑問だらけの名字のルーツ。古代の「姓」から「名字」が生まれてくる過程を、武家支配と「家」の誕生という中世日本史のダイナミズムにからめて詳述する。

今から1カ月前、菊地正憲『もう一度学びたい日本の近現代史』をブログでご紹介したが、この中で、僕は、この本で紹介されている参考文献の数冊は実際に読んでみたいと書いていた。本日ご紹介の1冊はまさにその派生読書の第一弾である。例えば、前述の本の著者の「菊地」姓、これは肥後熊本あたりを本拠地にしていた中世の大名「菊池」氏からの派生で東北に移り住んだ人たちが名乗ったもので、北関東から東北にかけて、「菊池」姓は広く分布しているのだという。(でも、マリナーズの菊池雄星投手は「菊池」なんだけどね。)

近現代史との関係で見ていくと、僕らが今名乗っている名字というのは、平安鎌倉時代から続く由緒ある家柄の名字(ただし、本当にその血筋なのかどうかはわからない)と、明治新政府が四民平等方針の一環で進めようとした戸籍制度(明治4年4月戸籍法制定)の一環で、苗字・帯刀による区別全廃のために、農民や町民も名字を名乗ることを許されて(明治3年)新たに取得した名字とが混在しているらしい。僕らはそのうち後者の方の割合の方が大きいと勝手に思っていたけれど、実はそうではないらしい。僕らが良く知る「鈴木」と「佐藤」は前者なのだとか。「田中」や「中村」も時代は下るが経緯としては新たに開墾された農村の中心となった人々を表す名字らしい。

一方で、明治の戸籍制度の下で新たに出てきた名字の典型は、その地域で採れる作物や魚介類を名字にしてしまうという奴だった。「大根」とか「鯨」とか。

そういう雑学的知識を仕入れることができる読書としては面白かった。特に、特定の地方に有意に多く分布する名字も確かにあるわけで、名字を聞いて出身県を当てるという僕の密かなゲームに、新たなネタを提供してくれた感はある。

ただ、逆に意外にも全く言及されていない名字も結構多い。愛知県に多いと勝手に思っていた「加藤」とか、岐阜県に多いと聞いていた「林」とか、数は多くないけど群馬県では比較的上位に食い込んできていると言われる「高橋」とか、本書では一顧だにされていない。同様に、僕自身の名字に関してもひと言も触れられていないので肩すかしを喰らった気分でもある。

僕の出自については明治の初めまでは遡れるらしい。父の努力の賜物である。本書で引用されている佐久間ランキングでは12位に食い込んでいる僕の名字。よく聞かされてきた説としては、明治初期の戸籍制度導入の中で、あまりに安直に付けられたものの1つだということだった。でも、僕らが中学高校の頃に流行っていた、剣道の胴に家紋をプリントするやつで、父から聞いた我が家の家紋は「上がり藤」―――藤原氏の末裔であることを示すものだった。

なかなか僕の名字が出てこないな~と思いながら読み進めていくと、最後の章のメッセージは「自分のルーツは自分である程度調べろ」ということで、どうやって調べればいいのか具体的に説明されていた。

新書版で全ての読者の異なる名字に対する関心に対して、満額回答を出すことは難しかったと思う。それが最後のまとめのところで、「そんなことは自分で調べろ」と突き放されてしまうと、時間もなくてそうそうその作業に時間も割いてられなくて、手っ取り早く答えらしいものが欲しいという密かな動機で読み始めた者としては、「なんだよ~」という気持ちになってしまう(苦笑)。

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