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執筆原稿をチラ見せする① [ブータン]

今、ブータンでの自分の経験をまとめて1冊の本にしようと原稿を書いています。今ブータンで起きている最も新しいトレンドを、そのトレンドを仕掛けた本人が書いているものです。日本でDIYをやっている若い人たちが、ブータンの若い人たちとつながって欲しいと思って書いています。

出版社のあてはまだありません。原稿が存在しない状態では編集者に見てももらえないので、先ずは原稿を書き上げることから始めています。四六判200ページ程度を想定すると、16万字程度が目標でしょうか。今は9万字程度まで書けています(囲みコラムを除いて)。ほぼ中間地点はクリアしたかなと思います。

本が出たとして、どれくらい買っていただけそうかという感触が知りたいと思います。それがわかれば出版社との交渉材料にできるかと思いますので。そのために書いている原稿をブログで何度かチラ見せします。読んでみたいと思われる方はniceをポチッとして下さい。

チラ見せの1回目は、ブータンの話ではありません。でも、ここで書いた経験がその後のブータンでの自分の活動のベースになっていきます。


◇◇◇◇

BOX1 デジタル工作機械を初めて操作する

●●●●事業におけるファブラボの利活用について、組織内での旗振り役を演じていながら、僕は、実際に自分で工作機械を動かす経験を積むことがなかなかできずにいた。横浜のいくつかのファブラボを見学させていただく機会はあったが、それはあくまでも仕事。スタッフやユーザーの説明を聞き、操作の実演を見せていただくことはあっても、自分でデータをこしらえて、工作機械のパラメーターを調整して、作業開始のコマンドを自分で押す機会はなかったのである。

自分でやってみないと他人に説得力のある言葉ではなかなか語れない。とはいっても、自宅、ないしは職場の近所にファブラボのようなものづくりのコンビニがないと、わざわざ時間をさいてそこまで行こうという気持ちにもなかなかなれないのが正直なところだ。

ところが、2015年も年の瀬にせまったある日、僕は自宅の近所にものづくりの工房ができたことを新聞の折り込み広告で知った。となりまちに本社のある大手メーカーのエンジニアの方がリタイアされて、自宅近くに新たな作業場を作ったというものだ。ではこれが「ファブラボ」なのかというと、そうではない。テレビ会議システムはないし、一般利用者が機械を利用したり、常勤スタッフからのマンツーマンのアドバイスを受けたりするには、それなりの料金が発生する。

世界のファブラボのネットワークのハブ組織となっているファブ・ファウンデーションは、「ファブラボ」の名称を用いるための条件として、①一般利用者のアクセス(できれば無料での施設の利用)、②「ファブラボ憲章」の順守、③共通の推奨機材の設置、④グローバルなファブラボのネットワークへの参加、を挙げている 。僕の近所にできたものづくり工房は、この条件を満たしていない。しかし、市民向けのものづくり工房がすべからくファブラボをめざす必要があるわけでもないし、工房の運営上、費用の回収の方法は当然考えておかねばならないことだ。

とまれ、近所に市民が足を運べる工房ができたことで、僕は自分でものを作らないことのいいわけができなくなった。大学工学部志望で、この種の工房に興味津々だったうちの長男を連れて見学会に参加した後、僕は2016年末に1人でこの工房を訪れた。僕自身が籍を置いていた職場に、SDGs推進室が新設される見込みとなったので、置き土産に部署の場所を示す掲示板をアクリルボード印刷で作ってみようと思い立った。

あらかじめアポを取り付け、工房を訪れた。応対して下さった女性スタッフに、自分がやってみたいことを伝えたところ、「それじゃまずはデータ作成ですね~」と言われ、工房にあったデスクトップPCを使って、二次元(2D)描画ソフトAdobe Illustrator(以下、イラレ)の基本操作を教えてもらった。イラレを操作すること自体が僕には初めてのことだ。スケッチ機能を用いて切り出すアクリルボードの大きさと形状を決め、四隅にねじを通す穴も書き込んだ。続いて掘りたい文字を入力し、フォントを変えたり大きさを変えたり、位置を微調整したり、操作を繰り返した。描画した線を切断するのか、単にマーキング(線を刻む加工)するのか、あるいは面を指定して彫刻するのかは、線色や面の塗り色を指定することで決められる。作業自体は単純だが、ソフトの操作には慣れるまでにちょっと時間がかかる。わからなくなるたびに女性スタッフを呼んで助言を求め、50代のおじさんは、冬場なのに汗だくでこれに1時間を要した。

こうしてデータができ上がったら、レーザー加工機で試作。イラレのプリントコマンドで用紙設定、レーザー出力設定と済ませる。さらに出力設定画面では、素材を「アクリルボード」と指定し、素材の厚みも入力する。次にレーザー加工機専用ドライバ「UCP」を開き、レーザー加工機の電源をONにする。工房にストックしてあった透明アクリルボードの切れ端を、加工機のふたを開けてハニカム上の加工テーブルの上に置く。そして、レーザー焦点がアクリルボードの印刷面に合うよう、加工機の上下ボタンを使って距離(Z軸)を調節する。ドライバ上で加工開始位置を決め、作業開始コマンドを入力する。

これであとはレーザーがサクサクやってくれる。切断もマーキングも、自動的に行われる。テストの結果を見て、必要あればデータの微修正を行う。

KIMG1393.JPG

試作はこれで終了。あとはスタッフの方に、透明アクリルボードやねじの仕様と調達先を訊いて、次の訪問時に実際に製作する。調達先としては近所の日曜大工ショップだけでなく、工業用資材通販のモノタロウもある。これらの材料をそれぞれ自分で調達し、全部そろったところでこれらを携えて工房を再訪、実際の製作工程に入るのである。ファブラボと違って工作機械は時間貸しの料金が発生する。データ作成時にスタッフにアドバイスを求めたりした場合、これにも費用が掛かる。費用回収の方法としては至極まっとうだが、逆にファブラボはなんでここを無料にして採算が取れているのか疑問にも感じる。

初めてのデジタル工作を振りかえると、もっともたいへんだったのは実はデータを作成するところだったように思う。実際の機械操作の段階になると、さまざまなパラメーターを設定する必要は確かにあるが、いったん慣れてしまうとあとの作業は機械がやってくれる。データ作成が自分だけでできず、スタッフの手を借りたりすると、高くついてしまう。

ちなみにこの工房、僕がブータンに行っている間に東京郊外に移転した。一方で、この工房で僕がお世話になったスタッフの方々は今も都内に残り、僕が通勤で使っている最寄り駅の近くにオープンした別の工房で、ひきつづき市民によるものづくりのサポートをして下さっている。工作機械は時間貸しで、その利用には1時間当たりで料金がかかるし、工房の利用にも1回いくらという利用料がかかる。依然として「ファブラボ」とはいえないが、「ファブ」だけはその工房の名前の頭にいただいている。


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