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『クリエイティブリユース』 [持続可能な開発]

クリエイティブリユース―廃材と循環するモノ・コト・ヒト

クリエイティブリユース―廃材と循環するモノ・コト・ヒト

  • 作者: 大月ヒロ子・中台澄之・田中浩也・山崎亮・伏見唯
  • 出版社/メーカー: millegraph
  • 発売日: 2013/08/30
  • メディア: 単行本
内容紹介
【創造と共に循環を】
廃材・廃棄物に新しい価値を発見すること。既に身の回りにあるモノに工夫を加えて活用すること。自らの手でモノをつくる喜びや楽しさ。「クリエイティブリユース」は、見捨てられているモノを観察し、想像力と創造力によって再び循環させることです。

前々回、仲村和代・藤田さつき『大量廃棄社会』を読んだ時、確かに読みやすくてことアパレルについては扱われているテーマにある程度の包括性は感じたんだけれど、ちょっと物足りないなと思っていたのは、リユースに関する記述だった。この本の主張は消費者に意識変革や行動変革をもたらそうと意図しており、これ以上未使用の衣類やちょっと着ただけで捨てられる衣類のリサイクルにはすでに限界が来ているという点がかなり強調されている。自分は必要ないけれども、世の中にはそれを必要としている人がいるかもしれないということで、両者をつなごうとする取組みとしては、メルカリの創業者への取材が行われている。

でも、世の中にはこんな取組みもある。廃材や廃棄物を再構築して新しい価値を与えるというもので、この再構築の過程で、アーティストやデザイナー、建築家などが関わり、世の中に1つしかないものを創り出すのに一役買っている。

このブログのフォロワーにはブータンがお好きな方が多いから、そういう方々にとってちょっとだけ参考になる情報をご提供しておくと、廃棄物を再利用して、新たな価値を付けようという試みは僕の米国人の友人が、2013年頃からサムドゥップジョンカル・イニシアチブ(SJI)にインターンとして入り、ブータン東部の国境の町でリードしていた。単なるゴミにアート的テーストを加え、現代アートとして再構築するというもので、彼女は「ライブ・デブリ」という世界的活動の主導者で、特に南米の国々で実践してからブータンにやって来た。

2016年4月からブータンに赴任した僕とは入れ違いだったが、活動拠点がサムドゥップジョンカルで、ティンプーには行ったことがないと言ってたから、仮に任期が重なっていたとしても、現地で会っていたかどうかはわからない。SJIは僕が駐在していた当時も非常にユニークな活動をしていたと思うけれど、正直言うと、彼女が残してきたものが、アート教育をあまり重視していないあの国で、どう根付くのかは少しばかり疑問でもあった。

ただ、ゴミを買い物かごに加工したりするリユースは、ティンプーでも主導していた団体はあった。自分の日常生活の中で使えるものに再利用しようという発想で、どこでも金太郎飴のようなものが作られていた。生活を少しだけ便利にしてくれるのはありがたいとは思うのだけれど、いつまでも買い物かごでは済まないので、そういう動きを主導しているグループは、指導員のアート的センスをもう少し磨かせるような工夫が必要なのではないかと思って、当時は見守っていた。「買わないのか」との圧力を受けたこともあるが、買い物かごが2つも3つも要らないので、どうしても食指が伸びなかった。

もう1つ事例は2015年4月のゴルカ大地震の後のネパール。大量に出た震災瓦礫の処理は被災地では大変な問題となったが、ここでも工作機械を使って瓦礫を再建用建材として再利用する試みが行われていたとも聞く。それで震災瓦礫の問題が全て解消されるわけでは決してないが、リユースをもう少し見直していってもいいのかなと思っていた。

さて、そんな中で出会ったのが本書だったわけだが、上で挙げた事例が全て廃棄物の再利用について述べたものだったわけだが、本書で扱われている事例はもっと広く、僕自身の「リユース」の概念の整理に役立つ1冊となった。使われなくなった古民家の再生もそうだし、廃業した店舗の在庫品の再利用だってそうだ、当然古着も含まれる。それらを再利用して、新たな価値を創造する活動の事例が、日本国内だけでなく、世界中から集められている本だ。そして、それらを再構築する過程で、地域に新たなつながりも構築する仕掛けが設けられている。集まってきている人々の活力、若さというのが読んでいてひしひしと伝わってくる。そうした中で、デジタル工作機械を設置したファブラボについても言及されている。

本ブログの読者なら容易に想像されると思うが、僕が本書を読んだ動機の1つは、ブータンのファブラボに今欠けているものがないかを少し見極めてみたいというものだった。繰り返しになるけれども、あまりアート教育には力を入れていない国なので、アート的センスが作品の価値を高めるという発想になかなか立てないところがあると思う。もし今後プンツォリンのCSTに新たなファブラボができるのであれば、そこはプンツォリン市内のゴミ問題とか、チュカの山村の空き家の再生と再活用とか、地域の課題と向き合うラボになっていく必要があると思う。プンツォリンを取り巻く周辺地域の課題と、CSTがどう向き合っていくべきなのか、考える上ではとても参考になる1冊だった。

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