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いつの間にやら500万PV [ご挨拶]

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先ほど、500万PVの切り番に到達しました。このような切り番到達の際には毎回申し上げていることですが、日頃のご愛顧に改めて御礼申し上げたいと思います。

300万PVから400万PVに到達するのに2年6ヵ月かかりましたが、それに比べて今回は3年6ヵ月もかかりました。事情があってあまり更新頻度を上げることができなかった時期もあるので、これ自体は仕方ないです。

今はもっぱら読書ブログになっていますが、それほど頻繁には本は読めません。理由の1つは今本の原稿を書いているからです。あと1ヵ月程度で脱稿したいのですが、それにはペースをもう少し上げないといけません。そうすると読書のペースも落とすことになるし、ブログの更新頻度も落とすことになるでしょう。

ぼちぼちやっていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


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『秩禄処分』 [仕事の小ネタ]

秩禄処分―明治維新と武士のリストラ (中公新書)

秩禄処分―明治維新と武士のリストラ (中公新書)

  • 作者: 落合 弘樹
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
秩禄処分とは明治期に行われた華族・士族の家禄を廃止する措置であり、学制・徴兵令・地租改正に匹敵する改革である。これによって武士とという特権的身分は完全に消滅した。さほどの暴力的手段を用いることなく、わずか10年でこの改革をなしえた背景には何があったのか。社会全体の変換期にあって、政治家が決断力とリーダーシップをもって国家目標を示し、士族たちもまた、それを理解した。天下国家への「志」が存在したのである。

5月に読んだ菊地正憲『もう一度学びたい日本の近現代史』からの派生で読んだ参考文献の第2弾である。秩禄処分について深く描かれているが、明治維新の最初の10年で何が起きたのかを概観する上では、かなり有用な本である。その有用さが評価されて、2015年に講談社学術文庫から再版が出ている。僕は20年前に出た中公新書を市立図書館で借りて読んだ。

この当時の大きな課題は、財政の確立と兵権の統一に向けて、華族・士族のあり方に大きな変更が必要になっていたことだという。財政面では、国家的課題である殖産興業や富国強兵を推進して他国に負けない近代国家になるための財源確保が必要だったが、華士族は全人口のわずか5%しか占めていないのに、国の歳出の37%もが、家禄に充てられていたらしい。軍事面では、西洋的な近代的軍隊の形成には、各藩別に編成された軍制を廃止して、統一的な軍隊を構築しなければならなかったが、旧藩兵の一部を再編してとりあえずは出発したものの、出身や年齢に関係なく画一的に服従すべき兵卒にするにはプライドが高すぎて扱いにくく、旧藩兵を解体して広く国民全般から徴兵して軍事教育を施す方向に舵を切りたいと政府は考えていた。

華士族の秩禄(報酬)を処分することは、明治維新の原動力でありながら次々と特権や処遇を剥奪されていく下級士族の不満を増幅させることにもなり、一方的に廃止するのは難しかった。そこで考案されたイノベーティブな方法が「金禄公債証書」の発行で、華士族の俸禄に応じた利付き公債を一時発行して、基本的に年7%の利子収入を保証する形で彼らの身分を解体するというものである。発行対象は大名とその家臣団約19万世帯。金禄公債発行により、旧士族に支給されてきた俸禄は完全にチャラになった。華士族にとっても、まとまった額の公債から生じる利子収入によって将来にわたっての安心感が得られる。いわば、華士族の特権と身分を、一時金によって買い取ってしまった政策である。

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『老後の資金がありません』 [読書日記]

老後の資金がありません (中公文庫)

老後の資金がありません (中公文庫)

  • 作者: 垣谷 美雨
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
「老後は安泰」のはずだったのに! 後藤篤子は悩んでいた。娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費…しっかり蓄えた老後資金はみるみる激減し、夫婦そろって失職。家族の金難に振り回されつつ、やりくりする篤子の奮闘は報われるのか?ふりかかる金難もなんのその、生活の不安に勇気とヒントをあたえる家計応援小説。

あまりにもタイムリーな読書。数カ月前から僕の読友がFacebookで薦めはじめ、いつかは読もうと思っていたら、近所のコミセン図書室で偶然見つけてすぐ借りることができた。「老後の資金不足2000万円」という例の金融庁審議会報告書のおかげで、本書にも余計な注目が集まっていたに違いないこの時期、まさか借りられるとは思っていなかった。

垣谷作品も5作目ともなると、なんとなくパターンが見えてきていて、序盤から中盤にかけて主人公を奈落の底に陥れる様々な出来事が起こり、そこで明確にターニングポイントになる出来事が起こり、そこから終盤に向けた展開は、「V字回復」と表現したくなるような劇的なもので、何もかもがプラスに働いていくようになる。そういうポイントが作品の中観にかならずある。そこに至るまではこれでもかこれでもかという不利な出来事の連続で、読み進めるのもつらくなるが、ターニングポイントをクリアした瞬間がわかると、あとの展開はワクワクしながらページをめくり続けられる。

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タグ:垣谷美雨
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『平場の月』 [読書日記]

平場の月

平場の月

  • 作者: 朝倉かすみ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/12/13
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
朝霞、新座、志木―。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる―。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。

この本、近所のコミセン図書室で偶然借りられた直後、なんと直木賞候補作品にノミネートされた。過去に直木賞を受賞した作品との比較において、またこれまで少ないながらも読んだ朝倉作品との比較において、これで選ばれないのもどうかという気は確かにする。

50代、年老いた親の介護、子の成長と独立、癌と死―――扱っているキーワードは一時期の重松清作品と近いが、彼の受賞作『ビタミンF』よりは高く評価する。重松作品はちょっと泣かせるための押しが相当入るが、『平場の月』の場合は冒頭ですでに須藤が大腸がんで亡くなることを明示し、それに向かって静かに流れていく時間が描かれている。一気に泣かせる描き方ではなく、静寂の中でじわじわ効いてくる泣かせ方である。僕はあまり読書してて泣くタイプの読者ではないけれど、同じ時代を生きている同年代の読者として、抱く共感は大きい。50代のオジサンにはやられた感が大きい作品だった。

朝倉作品にはありがちかなと思うのは、冒頭で出てくる人物と人間関係のごちゃつきであった。そこを我慢してやり過ごせば、あとの展開は時系列に沿っているので比較的読み進めやすい。適宜冒頭部分に戻って読み直し、「そういうことか」と理解して行くのである。また、時折中学時代の回想シーンが出てくるが、青砥が「付き合って下さい」と須藤に告げた時の須藤の不可解な言動が、どのような背景で生まれてきたのかもその中で語られていく。うまく効いていると思う。

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タグ:朝倉かすみ
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Speaking Up! [ブータン]

Speaking Up!: A Development Practitioner's Memoir of His 1,065 Days in Bhutan (English Edition)

Speaking Up!: A Development Practitioner's Memoir of His 1,065 Days in Bhutan (English Edition)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2019/06/11
  • メディア: Kindle版

ブータン人は文章を書かないから、日本人がつたない英語であっても自分の文章に残しておけば、あとで格好のレファレンスになる―――この信念を3年間実行してきたJICAの所長が、離任する際にその論考を1冊の本にまとめた。王立ブータン大学の研究紀要、国立ブータン研究所のカンファレンス論文集、全国紙クエンセル、JICAのHPなど、その多くは個別に検索すれば閲覧は今でも可能だが、これをまとめて読めるのはこの本だけ。

これを300冊、自腹で刷って離任前にブータンでも配布してきたが、とうとう在庫が底をついてしまったため、増刷できないかと現地から問い合わせを受けた。そこで彼が考え出したのが電子書籍化。アマゾン・キンドルのダイレクトパブリッシング機能を利用して、6月11日に公開された。しかも、製本版には含まれていない1章を増補するおまけつき。

印税収入は、彼が行いたい寄付に充てるのだと公言している。
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『名字と日本人』 [仕事の小ネタ]

先祖からのメッセージ 名字と日本人 (文春新書)

先祖からのメッセージ 名字と日本人 (文春新書)

  • 作者: 武光 誠
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/11/20
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
数え方にもよるが、日本人の名字はなんと30万種近くにもなるという。こんなに厖大な数の名字がどうしてできたのだろう?その中でも「佐藤さん」「鈴木さん」たちが多いわけは?徳川家康はなぜ「源朝臣家康」なのだろう?身近でありながら疑問だらけの名字のルーツ。古代の「姓」から「名字」が生まれてくる過程を、武家支配と「家」の誕生という中世日本史のダイナミズムにからめて詳述する。

今から1カ月前、菊地正憲『もう一度学びたい日本の近現代史』をブログでご紹介したが、この中で、僕は、この本で紹介されている参考文献の数冊は実際に読んでみたいと書いていた。本日ご紹介の1冊はまさにその派生読書の第一弾である。例えば、前述の本の著者の「菊地」姓、これは肥後熊本あたりを本拠地にしていた中世の大名「菊池」氏からの派生で東北に移り住んだ人たちが名乗ったもので、北関東から東北にかけて、「菊池」姓は広く分布しているのだという。(でも、マリナーズの菊池雄星投手は「菊池」なんだけどね。)

近現代史との関係で見ていくと、僕らが今名乗っている名字というのは、平安鎌倉時代から続く由緒ある家柄の名字(ただし、本当にその血筋なのかどうかはわからない)と、明治新政府が四民平等方針の一環で進めようとした戸籍制度(明治4年4月戸籍法制定)の一環で、苗字・帯刀による区別全廃のために、農民や町民も名字を名乗ることを許されて(明治3年)新たに取得した名字とが混在しているらしい。僕らはそのうち後者の方の割合の方が大きいと勝手に思っていたけれど、実はそうではないらしい。僕らが良く知る「鈴木」と「佐藤」は前者なのだとか。「田中」や「中村」も時代は下るが経緯としては新たに開墾された農村の中心となった人々を表す名字らしい。

一方で、明治の戸籍制度の下で新たに出てきた名字の典型は、その地域で採れる作物や魚介類を名字にしてしまうという奴だった。「大根」とか「鯨」とか。

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『まちの病院がなくなる!?』 [読書日記]

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生

  • 作者: 伊関 友伸
  • 出版社/メーカー: 時事通信出版局
  • 発売日: 2007/12/01
  • メディア: 単行本
内容紹介
「残念ながら、わが国の地域医療の崩壊は、一過性のものではなく、今後、さらに深刻なものになると思われる。日本の地域医療の崩壊を食い止めるためには、国民すべてが、医療現場で起きていることを、人ごとではなく、自らのものとしてとらえること、何が問題なのかを「言葉」にして他人に伝えていくこと、自ら積極的に行動していくことが必要と考える。

読書メーターの「根雪」的蔵書解消プロジェクトの第3弾。これまでのところ最も古くからの根雪で、購入時期は2009年頃である。この頃、僕はインドに駐在していて、わけあって日本の地域医療の問題点について調べていた。その一環でアマゾンで購入したのだが結局駐在期間中には読むことができず、日本に持ち帰ってそのまま本棚に直行してしまった。

こういう時事ものって、旬を逃すと書かれている内容が現在もイキなのかというので悩んでしまう。本書は発刊から既に12年が経過している。当時としては新しい議論で、2006年に起きた夕張市立総合病院の経営破綻を契機に、自治体病院の実態について注目が集まっていた時期であった。

僕がこんな本を購入したのもそういう背景があったのことだが、発刊から12年も経った今、いざ読み始めてみると、当時の問題点の分析もさることながら、それで今はどうなっているのかの方が知りたくなってしまった。著者の書籍刊行は2014年で止まっている。そこで、著者が運営している「伊関友伸のブログ」も覗いてみたのだが、こちらは最近までブログのアップが行われていて、時々独り言のように持論が展開されているが、比較的最近のログでも議会や行政の無理解が指摘されているし、最近は「まちの病院」どころか「まち」自体がなくなるとの指摘も目立っている。


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『女工哀史』 [シルク・コットン]

女工哀史 (岩波文庫 青 135-1)

女工哀史 (岩波文庫 青 135-1)

  • 作者: 細井 和喜蔵
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1980/07/16
  • メディア: 文庫

読書メーターの「根雪」的蔵書解消プロジェクトの第2弾。これは間違いなく2011年頃に購入したもので、最初から「いずれ読もう」ぐらいのつもりで入手している。分厚いというだけでなく、元々大正14年(1925年)の作品なので、記述のされ方がいささか古いという先入観もあって、なかなか手に取りづらかったというのはある。但し、今回読んでみてわかったのは、岩波文庫のはかなり現代語訳にされていて、読みづらさというのはほとんど感じなかった。

それ以上に僕の読む気を削いだのは、『女工哀史』が綿紡績や綿織物の工場の話だったからだ。当時からの当ブログのフォロワーの方はご存知かと思うが、僕はシルクの製糸工女のことを調べていたので、コットンの方にはあまり手が回らなかったのである。絹の製糸工場が話題に上ったりすると、「ああ、『女工哀史』の話ですね」という反応が返ってくるのがお決まりのパターンだった。しかし、これは実は間違いで、『女工哀史』ではシルクは扱われていない。このことを知っていたので、僕は読むのを後回しにしたのだ。

しかし、綿紡績であろうと絹糸製糸であろうと、時代がほぼ同じである以上、労務環境にはそれほど大きな違いもないのがわかる。結構過酷な労働を工場では強いられていたのだ。山本茂美『あゝ野麦峠』にも同じような描写があったと思うが、リクルーターが各地の農村を訪れて狙った女子の両親にかける甘言、そして、過酷な労働条件に関する工場にとって不利な情報が農村に伝わらないように、手紙の検閲や来訪者面会禁止、女工の帰省禁止、外部との接触禁止等々、結構ひどいことが行われていたらしい。ブラック企業もいいところだが、当時はそういうのが当たり前の世の中だったようだ。

『あゝ野麦峠』を読めば岡谷の製糸工女も労働条件は相当過酷だったが、外部との接触禁止なんてえげつない行為までは横行していなかったと記憶している。もっとも、帰省が許されていたからといって、年末年始の冬休みに雪の北アルプスを越えて里帰りするのは、それはそれで命がけだっただろうが。

日本の近代化の歴史を学ぼうとするなら、こういうダークな部分をどう解消していったのかも併せてとり上げるべきだ。
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