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『2052』 [持続可能な開発]

2052 今後40年のグローバル予測

2052 今後40年のグローバル予測

  • 作者: ヨルゲン・ランダース
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2013/01/09
  • メディア: 単行本
内容紹介
最も「実現確率の高い未来」を徹底予測―――本書『2052』は、かつて世界の人々に重大な警告を与えた『成長の限界ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』を受け継ぎ、21世紀の警告書としてあらためて問い直したものです。
『成長の限界』(1972年)では、人類は地球の物理的限界にどのように適応するかという壮大な問いに取り組み、資源枯渇や持続可能性、温室効果ガスの弊害について、世界が真剣に考え始めるきっかけを作りました。
本書『2052』は『成長の限界』から40年が過ぎた今、持続不可能な方向に進んでいる地球に対して、人類がどんなアクションをとっていくのか(あるいはとらないのか)、経済、環境、エネルギー、政治など30以上の分野にわたる世界のキーパーソンの観測を踏まえて、今後の40年間の予測を取りまとめました。 元祖『成長の限界』の著者の一人であるヨルゲン・ランダースが描く「最も実現確率の高い近未来」は、混沌の21世紀をどのように生きるべきかの重要な指標になります。巻末には、今後40年を生きていくためのランダースからの20のアドバイスがあります。

長かった。10日がかりの読書であった。仕事で1週間ほどクルタンに滞在したので、その間、時間を見つけてはシコシコ読んだ。こうした特別な環境に身を置く機会でないと、なかなか読めない本だと思う。

本書は、未来予測の本を何冊か読みたくて、2016年4月にブータンに来る時に買って持って来た。サイズのわりに安かったし。でも、A5判で500ページもあるそのボリューム感を敬遠して、なかなか手を伸ばすことができなかった。さすがに自分の残りの任期を考えたら、当地に置いていくのか持って帰るのかの判断をしてしまいたくて、1週間も日常生活から離れるという特殊な機会を利用して、真っ先に読んだものである。(で、結局この1冊しか読了できなかったのだが。)

結論から言うと、この本は持って帰る。図書館で借りればいいじゃないかという考えもあったが、手元に置いておいた方がいい本だと判断した。今後予想される我が子の進路選択の判断材料にでもなればという思いもあったから。面白いことに、著者は彼自身も著者の1人であった1972年の『成長の限界』から本書を著した2012年がちょうど40年経過した時点だったので、そこからの次の40年というのを未来予測のターゲット年に定めたとしているが、僕が本書を読んだのは55歳の時点で、2052年というターゲット年、順調なら僕の長男が55歳になっていることになる。自分の長男がどういう状況の中で55歳を迎えているのかはわからないが、1つだけ言えることは、僕自身も含めて今大人たちがしでかしていること、それと僕らの前の世代から続いてきた地球を痛めつけるような行為のつけを、僕らの子どもや孫の世代が払わされていることだ。

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『幸福をはかる経済学』 [持続可能な開発]

幸福度をはかる経済学

幸福度をはかる経済学

  • 作者: ブルーノ・S・フライ
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2012/09/11
  • メディア: 単行本
内容紹介
就職・結婚・政治は幸福にどう影響しているのか?最新の計量分析の手法を用いて幸福度を計測する「幸福の経済学」の主な成果と新しい展開をまとめた研究書。偏った印象論で幸福を語るのではなく、パネルデータと要因分析によって、多角的に私たちの幸福について考える。

今年の積読蔵書圧縮計画第2弾も、A5サイズであった。お陰で通読するのにも3日かかった。

この本は積読解消したらブータンに置いていこうかと思っていたが、読了した現時点では、やっぱり持って帰ろうかという気持ちの方が強くなった。3,700円もする高価な本だからというのもあるけど、それ以上に、この本、幸福度研究の2008年時点までの成果を俯瞰するにはかなりの良書だと思ったからである。

ご想像の通り、この本は自分がブータンに赴任してくる時に、GNHの国に行くんだから、帰国する頃には少しぐらい「幸せ」について蘊蓄を語れるようになっておかないとというようなよこしまな気持ちから購入に踏み切った1冊である。そして、A5判ハードカバーというもったい付けた装丁だったので、「幸福」に関して数冊購入した中で、いちばん後回しにした本であった。

でも、結果的にはこの順序でよかったと思う。ブータンに来る前にちょっとだけかじっていたポジティブ心理学もカバーされているし、ロバート・フランク『幸せとお金の経済学』で展開されていた「地位財」の話も出てきた(勿論、ロバート・フランクの著書は本書より後に出版されているので、本書で引用されているのはそれ以前にロバート・フランクが発表した文献ではあるが)。当然、「イースタリンのパラドクス」は出てくる。言ってみれば、これまでに読んできた本の論点を、比較的わかりやすい記述で網羅している1冊で、これまで読んだ幸福度研究関連の本の中では最も有用だと思った。

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『世界はシステムで動く』 [持続可能な開発]

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方

  • 作者: ドネラ・H・メドウズ
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2015/01/24
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
『世界がもし100人の村だったら』を生んだドネラ・メドウズに学ぶ「氷山の全体」を見る技術。株価の暴落、資源枯渇、エスカレートする価格競争…さまざまな出来事の裏側では何が起きているのか?

ブータンに来る直前、枝廣淳子・内藤耕『入門!システム思考』を読んだ。その時は「入門」―――のつもりだったので新書版のこの本から入ったわけだけど、その時に、機会があれば本家システム思考のドネラ・メドウズの著書もそのうち読もうと考え、赴任前に購入して、ジリアン・テット『サイロ・エフェクト』なんかと一緒に、ブータンに持って来ていた。タコツボで部分最適な方策ばかりを実行していて、全体を見ていないと、期待されたほどの成果が出せない。このことはブータンでも結構感じることが多く、その気になって「システム思考」を勉強でもしておれば、赴任からの2年8カ月の働き方も変わっていたのではないかと思われる。

また、ドネラ・メドウズといったら1970年代初頭に有名な『成長の限界』の著者でもあり、「持続可能な開発」や「SDGs」が喧伝される昨今、その著書が再び注目されている学者兼ジャーナリストの1人である。だから、SDGsを考えるならメドウズの著書は読んでおこうとも考えたのだが、この国でSDGs、SDGsとやいのやいのと言いつつ、でもその主流化の取組みを国連が独り占めしている状況だから、元来あまのじゃくな僕は、「じゃあもうええわ」と思ってブータンではSDGsについて口を開く回数を減らしていった(勿論、やることはやっている)。なので、SDGsを考えるならメドウズ、という意識も徐々に薄れてきていて、結局今日まで読む気が起きなかった。

それでも今手に取ったのは、自分の任期も残り僅かになってきており、積読状態の本をできるだけ圧縮しておきたいという気持ちからに過ぎない。

で、読んでみてどうだったかというと、正直言うとものすごく読みづらかった。

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『「つくる生活」がおもしろい』 [持続可能な開発]

「つくる生活」がおもしろい ―小さなことから始める地域おこし、まちづくり

「つくる生活」がおもしろい ―小さなことから始める地域おこし、まちづくり

  • 作者: 牧野 篤
  • 出版社/メーカー: さくら舎
  • 発売日: 2017/01/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
いま生き心地のいい小さな社会が続々と各地で生まれている!人が戻りたくなる居場所をつくる!下り坂社会のただなかにあっても、人が心地よく暮らせる社会、地域をつくるための模索が全国各地でなされている。その最前線をサポートする著者が示す、これからの生き方!

僕の放浪生活も今日が最終日。この予約投稿がブログに掲載される頃には、僕はブータンに戻る機中の人となっているだろう。歯の治療はかなわなかったけど、おでんの具材は調達できたし、英文書籍の原稿チェックもできたし、何よりもメチャ読書ができた。美味しいものを食べて過ごしたわけじゃないが、積読解消はある程度進み、相当なインプットができたと思う。

とはいえ、本書の「つくる生活」という釣り文句にはまんまと引っかかったと思う。また、アマゾンの内容紹介には「人が心地よく暮らせる社会、地域をつくるための模索」の最前線に出向きサポートしてきた著者が、「その現場(長野県飯田市、千葉県柏市、北海道富良野市、愛知県豊田市など)をレポート」とあるが、これも釣り文句であり、本書のタイトルと第1章はあまり合っているとは思えなかった。前置きばかりが長々と語られた後、現場のレポートが出てくるのは第3章。長野県泰阜村、下條村、千葉県柏市と続き、さらには岐阜県の十六銀行の高齢者セミナー、愛知県豊田市の里山プロジェクト、東京都世田谷区、長野県飯田市の飯田OIDE長姫高校、北海道富良野市の「心がふるさとに向くキャリア教育」と続く。各々の取組みは面白かったし、教育学者が地域おこしに取り組むとはこういうことなのかと理解もしやすい。

特に感銘を受けたのは、僕も勤めていた十六銀行で、こんな取組みが行われていたというのを知ったこと。それに、「教育課程を学校で完結させるのではなく、地域コミュニティと一緒になって子どもを育て、子どもに豊かな社会体験を保障することで、創造性豊かで、人とともにこの社会を作る主人公を育成しよう」という取組みなら政治家も研究者も皆が注目するあの離島の取組みを相対化して、どこでもそうした取組みが行われているというのを見せようと意識されている点だった。

仕事上はそうした有名な地方創生の取組みとは仲良くしていかなければならない立場なのだけれど、縁もゆかりもない土地より、縁もゆかりもある地方の創生の方が馴染みもあるし、取り組んでいる方々の顔も想像しやすい。思いの入り方が違うのである。そこは多くの人にご理解いただきたいところだ。僕だって自分の老後を考えたら、自分の生まれ育った地域の社会づくりに何かしらの貢献をしたいと思うのである。

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『ソーシャルイノベーション』 [持続可能な開発]

ソーシャルイノベーション 社会福祉法人佛子園が「ごちゃまぜ」で挑む地方創生!

ソーシャルイノベーション 社会福祉法人佛子園が「ごちゃまぜ」で挑む地方創生!

  • 作者: 竹本 鉄雄
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/09/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
 佛子園は1960年に発足した社会福祉法人で、知的障害児の入所施設としてスタートした。95年からは知的障害者の更生施設の運営にも乗り出し、98年には障害者就労施設として奥能登に地ビールレストランを開設。地元福祉関係者や行政の間ではよく知られる存在だった。
 その名が全国区に躍り出たのは、2013年9月に金沢市郊外にオープンした「シェア金沢」がきっかけだった。監修者である雄谷理事長は、周辺地域住民が集まる福祉の町づくりを志向し、約1万坪の敷地にサ高住、障害児入所施設、訪問介護施設などのほか、天然温泉やキッチンスタジオなど周辺地域から人を呼び寄せる多様な施設を「ごちゃまぜ」をコンセプトに集積。高齢者、障害児、地域の人々が交流するコミュニティを形成した。「シェア金沢」は、地方創生を推進する政府にも注目され、日本版CCRC(生涯活躍のまち)のモデルともされた。
 その佛子園が約60年の歴史の中で積み重ねてきた大小さまざまな試みは、「ソーシャルイノベーション」に相当する。本書では、佛子園及び雄谷理事長ならではの先進性、独自性あふれる取り組みを。このソーシャルイノベーションの横串としてつまびらかにしていく。

佛子園はブータンでも事業展開している数少ない日本の市民社会組織。その佛子園の歩みが1冊の本にまとめられたというので、さっそくお取り寄せしてみることにした。分量的にも164頁程度なので、サクサク読める。佛子園の歩みは断片的にはこれまで知る機会も多かったので、飛ばせるところは飛ばして、3時間ほどで読了した。

「ごちゃまぜ」というコンセプトには大いに賛同する。歳を重ねるにつれて動作に障害が生じるのは当たり前のことなので、高齢者と障害者を分けて論じるのにはそもそも反対だし、それぞれを隔離して高齢者は高齢者ばかり、障害者は障害者ばかりの共同生活コミュニティを作るのにもあまり賛成ではない。ブータン教育省は全国に特殊ニーズ教育(SEN)指定校を増やし、アクセシビリティ改善や指定校の教員のスキルアップ等を図る計画だ。そこに障害を持った児童を集めることでサービス効率は高まるだろうが、SEN指定校から一歩外に出ればそこはアクセシビリティの問題だらけだ。SEN指定校を取り巻く地域社会全体に包容力がないと、本当の意味での社会的包摂性は得られない。また、障害を持った児童をSEN指定校に隔離してしまうことで、一般の学校の生徒には障害児の存在というものをわかりにくくしてしまう。

高齢者であろうが、障害者であろうが、地域の中で受け入れて、地域の人々が当たり前のようにケアしていく社会の実現が求められる。そういう多様性のある社会では、本書の文脈とはちょっと異なるけど、「イノベーション」は起こりやすい。障害者を見たことも接したこともない人に、その障害を軽減するようなデバイスを開発しようというアイデアが閃く可能性は非常に低い。常に接していないと、高齢者や障害者のニーズに対してアンテナを張ることは難しい。

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『ESG経営ケーススタディ20』 [持続可能な開発]

ESG経営 ケーススタディ20

ESG経営 ケーススタディ20

  • 編著者: 日経エコロジー
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
近年急速に注目を集めるESG(環境・社会・ガバナンス)経営
最新20社の事例に基づき、ESGへの取り組みがビジネスに役立つ具体例を詳しく解説
いま「環境経営」は「ESG経営」へと大きく進化しようとしています。グローバル企業は従来の環境対策に加えて、世界が抱える社会課題の解決や生物多様性に配慮した経営を強化しています。投資家や金融機関も、ESGに優れた企業に投融資する動きを加速させています。今後、日本企業もESG経営が求められるでしょう。従来の環境対策やCSR活動に加えて、より一層の温暖化対策の推進、貧困や人口減少などの社会課題解決、天然資源の持続可能性に配慮した調達などを進めなくてはなりません。
本書は、ESG経営のヒントになるケーススタディー集です。環境・CSRの専門誌『日経エコロジー』は先進企業を多く取材し、連載「ケーススタディ環境経営」で取り上げています。本書はその中から読者の人気が特に高かった20社を紹介しています。全事例とも、専門記者が経営者や環境・CSRの担当役員などの幹部取材と、事業の現場に足を運んで取材して執筆。
≪掲載企業一覧≫ コニカミノルタ/大日本印刷/デンソー/TOTO/大和ハウス工業/川崎重工業/積水ハウス/竹中工務店/清水建設/リコー/佐川急便/コマツ/積水化学工業/イオン/サントリーホールディングス/住友林業/三菱地所/日立造船/東レ/ヤマハ発動機

積読蔵書圧縮計画、10月分の第二弾はこの本。去年、ある国際会議に事前論文提出を求められ、参考文献候補として考えてアマゾンで注文した。内容的に自分の書く論文と関連性があるのかどうかがわからなかったが、書店店頭で立ち読みすることもできず、取りあえず「ESG」と付いていたのでリスク承知の上で発注した。そして見事に外れてしまった。少なくとも、論文執筆には役には立たなかった。

それを今読んだのは、これは単に積読状態解消を急がねばという義務感以外の何ものでもない。

こういう、新聞や雑誌で連載されたシリーズを、ある程度原稿がまとまってきたところで本にするというのは、僕も同じようなことを会社で担当したことがあるから、編著者側の気持ちはわかる。でも、一方で、これを買う人はどこをどう読むのだろうかという疑問も湧く。

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タグ:SDGs
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『暮らしの質を測る』 [持続可能な開発]

国連人間開発指数2017で134位に
Bhutan ranks 134 in 2017 UN Human Development Index
BBS、2018年9月24日、Sherub Dorji記者
http://www.bbs.bt/news/?p=103990

2018-9-24 BBS.jpg
【ポイント】
ブータンの人間開発指数(HDI)は2017年に0.612となり、これは2005年の0.510から大きく改善。長寿化、就学率改善、1人あたり国民所得の改善等が貢献。2005年以降、ブータンの出生児平均余命は64.9年(2005年)から70.6年(2017)に、学校就学年数もほぼ倍増した。経済面では、1人あたり国民所得は4,000ドル強(2005年)から8,000ドル強(2017年)に上昇。

一方で、経済活動やエンパワーメントにおける男女間の不平等は依然としてHDI改善の足枷になっている。女性議員の比率、の女性は中等教育修了率、女性の労働参加の割合等がその指標となる。女性議員の比率は、ネパールに場合は29.6%、南アジア地域平均で17.5%だが、ブータンはわずかに8.3%である。また、女性の中等教育修了率はブータンの場合わずか6%であり、これは男性の13.7%と比べてはるかに低い。ネパールの場合は少なくとも27.3%の女性が中等教育を修了している。女性の労働参加率は58%で、男性と比べて約25ポイントも低い。こうして、ジェンダー不平等指数(GII)では、ブータンは160カ国中117位にとどまる。

◇◇◇◇

国際機関や国際シンクタンクがこの手の国際比較データを公表するたびに、ブータンではしっかり報じられる。国連開発計画(UNDP)の出す人間開発指数(HDI)や、世界銀行の投資環境評価(Doing Business)等がその典型例だ。国際社会からどのように見られているのかを非常に気にしている様子が窺える。国連の眼を気にしているから、記事の中でのジェンダーの扱いもほぼ特出しに近い。少なくとも、日本に較べたらちゃんとやってるようには見える。日本でHDIをメディアが取り上げることなどほとんどない。

BBSのこの報道は、先にクエンセルが9月18日付の記事で取り上げたのを受けてのものだと想像する。テレビと新聞とメディアは違っても、両者の間にはどうやらライバル心があるらしい(その割に、クエンセルの記者は僕の剣道の取材には来てくれないが)。クエンセルの方では、ランクコンシャスなメディアらしく、189カ国中135位(2017年)から134位(2018年)にランクアップしたことを中心に報じている。

中等教育修了率は男女ともに僕らば思っているよりは低いという印象だが、これは中等教育が普及し始めた時期が最近なので、中等教育修了者が人口の大半を占めるようになるまで、あと20~30年ぐらいかかって徐々に改善されていくのだろう。

ところで、今日はブータンHDIは前置き。本論は本の紹介である。

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『スモール・イズ・ビューティフル』 [持続可能な開発]

スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫)

スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫)

  • 作者: F・アーンスト・シューマッハー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1986/04/07
  • メディア: 文庫
内容紹介
1973年、シューマッハーが本書で警告した石油危機はたちまち現実のものとなり、本書は一躍世界のベストセラーに、そして彼は“現代の予言者”となった。現代文明の根底にある物質至上主義と科学技術の巨大信仰を痛撃しながら、体制を越えた産業社会の病根を抉ったその内容から、いまや「スモール・イズ・ビューティフル」は真に新しい人間社会への道を探る人びとの合い言葉になっている。現代の知的革新の名著、待望の新訳成る!

これまで何度か挑戦を試み、その度に跳ね返されてきた本書。先週末からインドに行く機会があり、その行きのフライトの中で読み始め、インド滞在の最初の2日間で読み切った。以前イアン・スマイリー『貧困を救うテクノロジー』をご紹介した際にも、「本書を理解する前提としてシューマッハーの『スモール・イズ・ビューティフル』を読んでおくと良いかもしれない」と書いていたので、前掲書の再読を果たしたこの8月、できるだけ間髪入れずにシューマッハーの著書にも挑戦すべきだと思っていた。今は終わってホッとしているところである。

本書はいろいろな立場の人がいろいろな読み方ができると思う。第2部第4章「原子力――救いか呪いか」なんて、福島以降論争が喧しい原発開発の可否について、シューマッハーが1967年には警鐘を鳴らしていたことがよくわかる記述になっている。また、以前クレア・ブラウン『仏教徒の経済学』をご紹介した際にも少しシューマッハーに関する引用をしたが、クレア・ブラウンの著書は『仏教徒の経済学』と銘打っている割には「持続可能な開発」全般の啓蒙書のような感じだったが、『スモール・イズ・ビューティフル』の中の第1部第4章「仏教経済学」の方はもっとシンプルに「仕事」というものの捉え方についての従来の経済学と仏教経済学というところに絞っての違いとして論じられている。

元々著者が各所で行った講演や執筆論文をまとめた本なので、取りあえずテーマに合わせて1章ずつ集中して読むというのでいいと思う。通読すると、所々記述の重複もあるし、自分の関心と必ずしも合わない章はやっぱり読みづらく、どうしても時間がかかってしまう。『貧困を救うテクノロジー』の趣旨から言って、今回の読み込みで僕が注目していたのは「中間技術」に関する記述だったので、特に第3部の最初の3章――「開発」「中間技術の開発を必要とする社会・経済問題」「二〇〇万の農村」あたりを集中的に読み、そしてマークした。

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『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』 [持続可能な開発]

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦

  • 作者: 出雲 充
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

内容(「BOOK」データベースより)
世界で初めて「ミドリムシの屋外大量培養」に成功し、ダボス会議「ヤング・グローバル・リーダーズ」にも選出!全世界待望の「地球を救うビジネス」とは?―――。
前回、イアン・スマイリー『貧困を救うテクノロジー』をご紹介したので、同じような文脈で2冊目の本を読んだのかと思われるかもしれないが、実は読むことにした経緯はちょっと違っていて、ミドリムシの本を読もうと思ったのは、このユーグレナ社がブータンにもビジネス可能性調査で来られているからである。
JICA「途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査」に ブータン王国でのキヌア生産・販売体制構築の事業調査が採択されました
2017年7月11日
 株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、社長:出雲充)は、JICAが行う「途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査」として、ブータン王国での『小規模農家の収入向上および栄養改善のためのキヌア生産・販売ビジネス調査』が採択されましたことをご報告します。
 ブータン王国は人口の半数以上が農業に従事する農業国ですが、山岳地帯が多く、農業に適した土地が少ないため、多くの小規模農家が貧困状態に陥っています。
 そのような中、本調査では、高地にて安定して栽培が可能なうえ栄養価が高く、北米などで需要が高いキヌア栽培の技術指導を実施します。また、栄養価に関する食育、海外輸出に向けたバリューチェーンの確立に取り組むことで、ブータン王国の食料問題および農村の貧困問題の解決を目指します。本調査はブータン王国農業省、伊藤忠商事グループなどと協力して実施する予定です。
 なお当社は、バングラデシュ人民共和国にて、日本の農業技術の指導を行うことで現地農家による良質な緑豆栽培や、バングラデシュ人民共和国内外での緑豆販売のバリューチェーンの構築を行う『緑豆プロジェクト』を2014年10月より推進しており、その知見とノウハウを本調査に活用していく予定です。
 今後も当社は、経営理念である「人と地球を健康にする」ことに向けた取り組みを実施してまいります。
ユーグレナ社HPより

従って、冒頭から言っておくと、本書ではキヌアの話は一切出てこないので注意が必要である。僕はミドリムシからの事業拡大でどうやって緑豆やキヌアがスコープに入ってきたのかという経緯が知りたかったのだけれど、本書は2012年発刊であり、どうやら緑豆やキヌアはその時点では未だ同社のスコープには入っていなかったらしいというのがわかった。

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再読『貧困を救うテクノロジー』 [持続可能な開発]

貧困を救うテクノロジー

貧困を救うテクノロジー

  • 作者: イアン・スマイリー
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2015/08/19
  • メディア: 単行本

Mastering the Machine Revisited: Poverty, Aid and Technology

Mastering the Machine Revisited: Poverty, Aid and Technology

  • 作者: Ian Smillie
  • 出版社/メーカー: Practical Action Pub
  • 発売日: 2000/11/01
  • メディア: ペーパーバック

邦訳が発刊された直後の2015年12月以来の再読となる。前回も指摘していることながら、邦訳は悪い本ではないのだが、2015年9月に「持続可能な開発に向けた2030アジェンダ」と「持続可能な開発目標(SDGs)」が国連で合意され、その策定プロセスで南北間対立の1つの焦点となったのが「科学技術イノベーション(STI)」だったことから、そこへの打ち込みを勘案してかなり急いで発刊されたのではないかと思われるふしがある。拙速感を感じさせられるポイントは2つあり、1つは本書に出てくる引用の出典元を明記していないことと索引を付けていないこと(これは相当にクリティカル)、2つめは翻訳者ないしは有識者による作品解説がないことである。特に、出典明記や索引を省くような編集をなぜ本書ではあえてすることにしたのか、翻訳者なり編集担当なりからの説明があってもよかったのではないかと思える。だから原書も読めという、今回僕がやった方法にまで持って行って原書も売ろうなどと考えていたのであれば、出版社側の慧眼だったと言わざるを得ないが。

2つめのポイントについては、MITのD-Labの遠藤謙氏の巻頭緒言を載せることで解説を省いたのだと編集側では言いたいのだろう。遠藤氏の解説はこれはこれでいい。D-Labの説明・宣伝にはなっているので。原書『Mastering The Machine Revisited』をMITのテキストとして読んだ遠藤氏が何を本書から学んだのかを知る意味でも参考にはなる。しかし、作品解説にはなっているとはとうてい思えない。

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