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『ソーシャルパワーの時代』 [持続可能な開発]

ソーシャルパワーの時代―「つながりのチカラ」が革新する企業と地域の価値共創(CSV)戦略

ソーシャルパワーの時代―「つながりのチカラ」が革新する企業と地域の価値共創(CSV)戦略

  • 編著者: 玉村雅敏
  • 出版社/メーカー: 産学社
  • 発売日: 2016/07/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
出版社からのコメント
大好評『ソーシャルインパクトー価値共創(CSV)が企業・ビジネス・働き方を変える』の著者陣による2年ぶりの新刊!最新事例をもとに、ソーシャル・キャピタルを醸成し、つながりのチカラで社会インパクトを創出する方法を解説。共創の時代を見通すための1冊。

6月上旬、当地にお越しになられた慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの玉村雅敏教授と短時間ながらお話させていただく機会があった。そこで玉村先生から謹呈下さったのがこの本で、6月の喧騒がようやく終わったので、三連休となった週末を利用して、ようやく読み終えることができた。

僕と同じ業界の人が執筆陣の取材への協力者として何人も出てくるが、玉村先生から本書をいただいた直後、あとがきで列挙されていた取材協力者の中に、僕が社会人になって最初に勤務した金融機関の支店にお勤めだった先輩のお名前があったので驚いた。「社会価値と経済価値の共創を促すインフラをつくる金融機関」として紹介されている飛騨信用組合の取材協力者の筆頭に名前が挙がっていて、念のために玉村先生にお尋ねしたところ、確かに岐阜の別の地方銀行からひだしんに転出した僕の先輩であった。僕が転職せずに、大学を終えて最初に勤めた地方銀行でそのまま勤め続けていれば、こういう面白い仕事も岐阜でできたのだろうなと思った。

「価値共創(CSV)」というキーワードで、つながりのネットワークを作っていくことが社会にインパクトを作り出していくという具体的な事例を、企業の取組み、地域の取組み、それに国際協力分野でのJICAの取組み等からいくつも取り上げて詳述されている。各々の各論部分での課題といったものにはあまり触れられていない。基本的には良い面が常に強調されていて、読めば自分自身でも何かができるのではないかと思えるヒントが詰まった1冊となっている。

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『町を住みこなす』 [持続可能な開発]

町を住みこなす――超高齢社会の居場所づくり (岩波新書)

町を住みこなす――超高齢社会の居場所づくり (岩波新書)

  • 作者: 大月 敏雄
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/07/29
  • メディア: 新書
内容紹介
人口減少社会における居住は、個人にも、地域にも、社会にも今や大問題。「一家族一住宅一敷地」という考え方はもはや古い。住宅に求めるものは、長い人生のステージに合わせて、さまざまに変遷していくことに注目。町の多様性をいかに担保していけるか。居場所づくりのユニークな事例を多数紹介し、これからの住まいのあり方を考える。

積読蔵書のクリアランスを久々に再開した。昨夜から今日にかけて、1冊読み切った。この本は昨年末に一時帰国した際に購入、一時期人口高齢化に関する書籍をやたらと読み漁っていた2006~07年頃のことを思い出し、ついつい衝動買いしてしまったものだ。

サブタイトルに「超高齢社会の居場所づくり」とあり、そこに惹かれて買ったものだが、実際に読み始めてみての印象はもっと都市計画に近く、20年後、30年後にどのような町であることが望ましいかを考えつつ、居住政策を誘導していかないといけないと説いている。キーワードは「35歳と生まれたて」で、短期的な利益を考えて住宅開発を進めると、世帯主が35歳前後で、小さな赤ちゃんがいる世帯がそこに集中し、そのコホートがそのまま20年後、30年後まで持ち上がり、子どもは成長して家を出てしまうと、高齢者ばかりのコミュニティが出来上がることが予想されるとしている。いわゆるニュータウンの高齢化の問題がそれである。

そこで著者が示しているもう1つのキーワードは「町の多様性」―――人口構成や世帯構成の多様性、建物の持つ機能や用途の多様性、家族間のやり取りの多様性、移住と定住の間にある地域への根付き方の多様性、地域に存在すべき「居場所」の多様性等を包含して、「町の多様性」という言葉でまとめている。

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『デザイン思考が世界を変える』 [持続可能な開発]

デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 作者: ティム・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/05/10
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
人々のニーズを探り出し、飛躍的発想で生活を豊かにする―それが「デザイン思考」だ。研究や開発部門だけでなく全社的に浸透させれば、組織は持続的にイノベーションを生み出すことができる!その推進役として世界に名を馳せるデザイン・ファームIDEOのCEOが、デザインとイノベーションの重要性を熱く語り、組織を蘇らせる方法や社会問題を解決するための秘訣を経験談とともに明かす。

怒涛の6月を終えて、これからの3カ月は比較的「凪」状態。積読本の在庫一掃計画を再開しようと思っている。その第一弾は、米カリフォルニア州パロアルトにあるデザインコンサルティング会社IDEOのCEOが書いたデザイン思考に関する本である。

振り返れば3年ほど前、「デザイン」と名の付く本を集中的に読んでいた時期があった。当時高1だったうちの娘が大学でデザイン専攻したいようなことを言っていて、僕自身も仕事を通じて元プロダクトデザイナーだったという方と知り合いになったりしていて、どうせデザイン専攻するならプロダクトデザイナーを目指してくれないかなという思いもあったので、オヤジとしては先回りして勉強しとこうと考えた。但し、デザインはデザインでも、「コミュニティデザイン」という言葉にはちょっと拒否反応があって、コミュニティデザイナーがやっていることについては理解はできるものの、単に言葉の響きがあまり好きではないなと感じた。(結局、うちの娘はシステムデザイン専攻を偏差値が圧倒的に足りずに断念し、辛うじて拾ってもらえた某女子大に進学し、専攻も変えてしまった。)

本書の主題となる「デザイン思考」は、IDEOの歴史を振り返るとプロダクトデザインからスタートしているのかなと思うが、本書でも語られている通り、無味乾燥な製品にデザインで独自のフレーバーを付けたらおしまいというのではなく、その製品が使われる環境に関する十分な洞察を図り、人間工学的な考察も加えて、広く長く使われる製品を作り出すという、途中の過程を見る限りは、相当包括的で他分野の知見を総合する実践が図られていて、これはシステムデザインやコミュニティデザインにも適用される取組みなんだろうなと改めて思った。

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『地元経済を創りなおす』 [持続可能な開発]

地元経済を創りなおす――分析・診断・対策 (岩波新書)

地元経済を創りなおす――分析・診断・対策 (岩波新書)

  • 作者: 枝廣 淳子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/02/21
  • メディア: 新書
内容紹介
人口減少、駅前のシャッター通り、あきらめ、……。地元経済の悪循環を断ち切る方策はないのか。現状を可視化し、お金や雇用を外部に依存する割合を減らすための考え方やツール、好循環に転換した事例の数々を示す。次なる金融危機やエネルギー危機、気候変動危機に対する「しなやかに立ち直る力」(レジリエンス)をいま地元から。

来週、島根県海士町の方がブータンにいらっしゃるらしい。Facebookで友人になっている方の情報では、文部科学省の日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)から予算を取って、「「学校を核とした地域創生」の海外展開モデル事業〜ブータン学校魅力化プロジェクト〜」というのをご検討されているらしい。

海士町がブータンにご関心をお持ちであるというのはかなり前から知っていたので、ブータンで何をなさりたいのかを知るために、年明け以降、意識的に海士町に言及がある本を読み込んできた。今回ご紹介するのもそんな1冊。文科省のお金だから教育の色が付いているのは仕方ないと思うけれど、僕的には枝廣さんが本書で書かれている「漏れバケツ」という、地域からの漏れをいかに減らすかという考えの方がしっくり理解ができる。

ブータンの経済自体がまさに「漏れバケツ」状態だ。外国からの援助の受入や外国企業の誘致、観光の誘致などを行っても、国外の建設業者や建設作業員への支払いや、国外で生産されている部品の代金、国民が国外から購入する物やサービスの代金、さらには外国留学や出稼ぎ労働者として、資源が漏れていく。だから、本書で言われていることをそのままブータンに適用すれば、「いくらお金をブータンに「引っぱってくるか」「落とすか」ではなく、「ブータンからのお金の流出を減らす」こと、つまり、「いったんブータンに入ったお金を、どれだけブータン国内で循環し、滞留させるか」が大切」(p.22の記述を援用)ということになる。本書から学べることは、「いまのブータン経済の穴は大きすぎ、多すぎるのではないか、それを少しでもふさぐ努力をすることで、ブータン経済に残るお金が増え、ブータン経済の活性化やブータンの人々の幸せにつながるのではないか」(p.23の記述を援用)ということである。

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仏教徒の経済学 [持続可能な開発]

Buddhist Economics: An Enlightened Approach to the Dismal Science

Buddhist Economics: An Enlightened Approach to the Dismal Science

  • 作者: Clair Brown
  • 出版社/メーカー: Bloomsbury Pub Plc USA
  • 発売日: 2017/02/21
  • メディア: ハードカバー
内容紹介
 シューマッハーの良著『スモール・イズ・ビューティフル』から続く思想に添い、経済学者クレア・ブラウンは、平等、持続可能性、そして正しい生活を基盤にした新しい経済学を論じる。
「仏教徒の経済学は、平和、公平、環境の持続可能性を求めるすべての人々に指針を与えるものになるだろう」―――『持続可能な開発の時代』の著者ジェフリー・サックスはこう述べる。伝統的な経済学では、我々が得た所得を何にいくら費やすかを測定するが、我々の生活に意味をもたらす重要な人間のつながりに価値を置いていない。
 本書において、カリフォルニア大学バークレー校の経済学者で、かつ自身も仏教の実践者であるクレア・ブラウンは、生活の質は国民所得以上のものでなければならないという考えに基づいた包括的なモデルを開発した。ブラウンは、価値観、持続可能性、および資本の問題を克服するのではなく、経済を組織化するアプローチを提唱している。
 仏教では、相互依存性、繁栄と幸福、思いやりのある世界を重視する。仏教徒の経済学は、私たちが日々の活動に慣れていくにつれて慎重に考えるようになり、私たちの行動が私たちの周りの人々の福祉にどのように影響するかを理解する方法を提供する。 無限の欲望のサイクルをより積極的な集団活動に置き換えることによって、私たちの生活をより意味深く、幸せにすることができる。

昨年11月、当地で開催されたGNH国際会議の初日第1セッションで登壇されたUCバークレー校の労働経済学者クレア・ブラウンの著書。パネル討論の中でも本書を宣伝されていた。本を出すとこういう場に声がかかるのだということと、そういう場を利用して本をさらに宣伝することもできるのだというのを、改めて感じた。お陰で読んでみようという気になったわけで、宣伝効果は確かにある。

僕もブータン駐在生活が2年を超えたので、就労許可証所有外国人は継続して3年以上いられないというこの国の入国管理制度のしばりもあって、どう考えてもあと最大9カ月ほどしかいられない。この国を去る日がその9カ月の間のいつなのかがわからないので、それまでに何を済ませるのかは考えるのが大変だが、ブータンを去った後何をしたらいいのかはよく考える。ブータン学会とか友好協会とかに入会を勧められたりもするのだが、3年弱ブータンに住んだからといって、この国を理解するのに十分だとはとうてい思えないし、ブータンを愛しておられる日本人の方々は大勢おられて、僕の拙い知見をけちょんけちょんにされるのも悩ましい。それに会費払えるほどの経済的余裕もない。僕の場合はネパールとインドにも友人がいて、そのネットワークがブータンでの仕事を多少やりやすくしているところもあるので、もうちょっと広い枠組みで物事を捉えたいという気持ちもある。

とはいっても、僕も非常勤ながら院生に「持続可能な開発」や「SDGs」を説く立場にある。そういう視点でブータンを2年近く見てきたのは自分の売りでしょうね。

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『アジアの市民社会とNGO』 [持続可能な開発]

アジアの市民社会とNGO

アジアの市民社会とNGO

  • 編著者: 秦 辰也
  • 出版社/メーカー: 晃洋書房
  • 発売日: 2014/04/01
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
アジア社会は今、大きく変わろうとしている。かつてのNGOは、新たなステージを迎え、変化と混乱にさらされている。市民社会組織(CSO)の動きが注目されるなか、NGOはその存在意義をどこに見出し、役割を果たしていくのであろうか。「いくつものアジア」で活躍する「いくつものNGO」の動きから、その存在意義を捉え直す。

実はこの本、2014年に発刊された際、執筆協力者に3人知り合いがいたのですぐに入手したものである。3人のうち、1人は大学院の同期生。但し、中途退学されて、別の大学院に移られた。今は大学の教授をしておられる。偉くなられたなと思う。(僕はそういうアカデミックな世界にそのまま進まなかったので、こういう本の執筆協力に呼ばれることはない。と言いつつ今月出た別の本の中で1章書かせてもらっているのだが、素性がばれるのでそちらの本のご紹介はここではしません。)

さて、いずれ読もうと思っていた本なのに、なぜ4年間も積読で放置したかというと、理由は2つある。1つは発刊後の最初の2年間がクソ忙しかったこと。もう1つは後半の2年間、僕はブータンで過ごしているからである。本書は「アジア」と銘打っているが、事例を扱っている国は、タイ、カンボジア、フィリピン、インドネシア、東ティモール、ベトナム、ミャンマーなどの東南アジアの国々であり、かつて僕が仕事上関わったバングラデシュとインドは、NGO・市民社会組織の活動が辛うじて各1章取り上げられているぐらいでしかない。ましてや、ネパールやブータンのNGO・市民社会組織には言及もされていない。全体的に土地勘のない国ばかりが事例に挙がっているので、読む気がしなかったというのがある。

今、本書を改訂して新たにブータンを取り上げますと言ってお誘いいただけるなら、書く自信はありますけどね(笑)。ただ、専門でもないので、そもそも声はかからないと思うが。

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タグ:NGO CSO 市民社会
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ミジレイ『社会開発-理論と実践』 [持続可能な開発]

Social Development: Theory and Practice

Social Development: Theory and Practice

  • 出版社/メーカー: SAGE Publications Ltd
  • 発売日: 2013/11/13
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
今、ソーシャルワークに求められる新しい視点。国際社会福祉の場で注目される社会開発。社会福祉学、社会政策、開発学などの専門家、研究者、学生、ソーシャルワーカー必読の一冊。

3月に読んだ鳥飼玖美子先生の著書に刺激を受け、毎日の日課としての音読の素材として読み込んだ洋書の第2弾。今月2冊目の読了となる。ミジレイ先生には2003年に一度、日本福祉大学大学院のシンポジウムでお目にかかったことがある。当時は先生と生徒の立場だったし、僕自身がよくわかってなかったので、すごく濃密な会話をしたということもなく、先生から何かを学んだということもなかった。その後、1995年に出ていた先生の著書『Social Development』を図書館で見つけ、読もうと挑戦したが挫折。1995年の著書は訳本も出ている(『社会開発の福祉学』)が、それは最近まで知らなかった。

今回は、2013年に出た改訂増補版をキンドルでダウンロードして読んだものであるが、2000年代に入ってからの文献が豊富に盛り込まれているので、枠組み自体は同じであったとしても、中身は相当変わったと考えてよい。最も大きかったのは、1995年のコペンハーゲンでの社会開発サミット、2000年の国連ミレニアム開発目標が反映されていること。とはいえ、2013年という発刊時期もちょっと微妙で、2012年のリオ+20持続可能な開発サミットはチラッと触れている箇所はあるが、当然ながら、2015年のSDGsへの言及はあり得ない。

そういう意味での古さはあるかもしれないが、社会開発の思想史といった歴史的側面をしっかりカバーされているので、これから社会開発を学ぼうとする人にとっては格好のテキストだと思う。ミジレイ先生が関係しておられた日本福祉大学大学院国際社会開発研究科(修士)の門を叩く人は、僕も含めて現場での経験は既にお持ちの方が多く、自分の経験をまとめておきたいというのが1つの動機となって修士課程に在籍されるのだが、総じて先行研究のレビューが弱いので、論文の仮説設定で苦労されるケースが多い。僕自身もそうだった。かといって、50も100も文献レビューができるわけでもないし、英語の論文のレビューはさらに難しい。そういうのを効率的にやろうと思ったら、こういう本を読むのがいいんだろうな。

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『私たちはみなメイカーだ』 [持続可能な開発]

私たちはみなメイカーだ ―メイカーが変革する教育、仕事、社会、そして自分自身 (Make: Japan Books)

私たちはみなメイカーだ ―メイカーが変革する教育、仕事、社会、そして自分自身 (Make: Japan Books)

  • 作者: Dale Dougherty, Ariane Conrad
  • 出版社/メーカー: オライリージャパン
  • 発売日: 2017/08/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
「メイカームーブメントとは、ロボットや3Dプリンターのことではありません。その本質は自由です。自分たちが住む世界を自分の手で作る自由です」。本書は、雑誌「Make:」やイベント「Maker Faire」によってメイカームーブメントを牽引してきた著者による初めての書籍です。DIYとハッキングの「交差点」から生まれた、このムーブメントを誰よりも深く知る著者が、これまで知り合ったメイカーたちの経験と発言を通して、彼らがコミュニティ、学び方、働き方、そして自分自身をどのように作り変えていったのかを紹介し、「アマチュア」という存在が社会の中で持つ意味を考えます。消費者からメイカーへ、世界は着実に変化しています。その変化がどんな人にも恩恵をもたらすことを、本書によって実感することができるでしょう。

日本の会計年度末の喧騒をやり過ごし、新年度に向けて視界が開けてきた。「開けてきた」という表現が正しいのかどうかはわからないが、あまりダイナミックにあれやったりこれやったりとできない制約がある中で、日本から来られるお客様も少ないし、今年は国政選挙もあるので、身動きがとれない期間も結構ある。そうなるとティンプーに居残る時間が過去2年よりも長くなるのかなと漠然と思っている。だから、「視界が開けた」という言い方をしたが、何をやるか考えるのには多少時間がかかった。精神的にも少し落ち込んだ時期でもあった。

そんな中で先日ファブラボに行ってみた。2017年7月にオープンしたばかりの工房だが、訪れるたびに変化があって、時々呼ばれて行ってユーザーが取り組んでいるプロジェクトの進捗のプレゼンを見せてもらっている。ティンプーのランドスケープも毎日少しずつ変化しているが、ファブラボで行われていることの変化も速い。援助機関や国際機関、いろいろな国の研究機関、外交団等が入り乱れて来訪し、その度にあちらで式典、こちらで式典と大忙しで、じっくり腰を落ち着けて1つの仕事に取り組めない政府関係者と比べると、ファブラボ周辺のスピード感は圧倒的だ。

ただ、話を聞いていると、閣僚や政府高官の視察とプレゼン要請が多すぎて、その応対で時間を割かれて大変だという愚痴も出てくる。時間が空いたからちょっと行きたい的なショートノーティスの来訪が結構多いらしい。注目の場所だからそれも致し方ないが、じっくり物事を考え、手作業に集中したいときにそういうのが入ってくるのは残念でもある。政治的に利用しようというだけでなく、時間ができたのならラップトップを持って行って、あなたも実際にモノづくりをやってみたらどうかと思う。そういうところを突然訪問する人はたいてい、「やってみたいが忙しいから」というのを言い訳にする。ややもすると僕自身もそういう状況に陥りがちなので、視界が開けたのならこれからしばらくは腰を落ち着けてモノづくりに取り組んでいきたいと思っている。

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『地球と一緒に頭も冷やせ!』 [持続可能な開発]

地球と一緒に頭も冷やせ!

地球と一緒に頭も冷やせ!

  • 作者: ビョルン・ロンボルグ
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2008/06/28
  • メディア: 単行本
内容紹介
温暖化問題を煽らず、冷静に考える!
ヒートアップするばかりの温暖化問題。だが、もっと冷静な議論が求められているのではないか? 『環境危機を煽ってはいけない』の著者であるビョルン・ロンボルグが、温暖化問題を徹底解説する。訳者・山形浩生の解説も付す。

山形浩生の著書を読んだ勢いで、彼の翻訳した積読書籍もついでに読んでしまうことにした。書体が似ていて読みやすかろうという期待もあったし、僕自身ビヨルン・ロンボルグに著書を過去に読んでいたこともある。それと、読了が間に合わなかったけど、先週は来られたお客さんと気候変動の話をしなければならなかった。そもそも地球温暖化や気候変動は僕の専門でもないので、お前が主となって応対しろと言われてすぐにパッとできるほどのアドリブ力も僕にはない。準備何もしないよりも少しぐらいはしておこうと考え、2年近く積読状態で放置していた本書を読み切ることにした。

ジェフリー・サックス教授とかいった世界の著名人が、温暖化を2℃以内に食い止めないと、その後の温暖化は制御不能なほどに加速し、それによって引き起こされる気候変動が我々の身に予想もつかないような災害を引き起こすと言われると、そうかなとは思うのだが、僕らの子どもの頃は、むしろ地球は氷河期に向かおうとしていると子ども雑誌には書かれていたのに、なんで今は逆になっちゃったのかは理解に苦しむ。

SDGsには17のゴール、その下に169ものターゲットがあるが、その策定に影響力のあったサックス教授のモチベーションの原点も地球温暖化と気候変動にあったような印象である。いわば低炭素化社会の実現はSDGsの目標の中でも中心に据えられるものの1つだといえるわけだが、なのに策定にあたっての最大の争点となったのもこの部分であったようだ。だから、とりあえずはSDGsやパリ協定としてまとまったとはいえ、どうやって目標達成に実効力を持たせるのかは今でも課題だと思う。

一方で、今や国際機関ならどこでも「気候変動スペシャリスト」という専門担当官を置いていて、気候変動対策と名が付けば予算も取りやすくなっている。そういう感じで出てきた援助案件や、それを売りにしている専門官とかを見ていると、ちょっとばかり得体のしれない胡散くささを感じる。(真剣に取り組んでいる人には申し訳ありません。)単に課題に対してド素人な人間の感覚的なことなんだが。

そんなわけで、こうしてロンボルグのような単純な論点には惹かれてしまう自分がいる。

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『善意で貧困はなくせるのか?』 [持続可能な開発]

善意で貧困はなくせるのか?―― 貧乏人の行動経済学

善意で貧困はなくせるのか?―― 貧乏人の行動経済学

  • 作者: ディーン・カーラン、ジェイコブ・アペル
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2013/02/09
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
“社会実験”+“行動経済学”が世界を救う。イェール大学教授と現場のリサーチャーが最前線のフィールド研究から教えてくれる貧困削減のためのアイデアが満載。

日本での充電生活も残り1週間となり、読書三昧もゴールが見えてきた気がする。以前も書いたが、僕は某大学院の非常勤講師も務めている。後期履修の1講座だけで、昨年9月以降の4ヵ月だけの講座なのだが、その間ネット上の履修室で行われた履修生とのやり取りの中で、もうちょっと最近の開発経済学系の文献を読んでおく必要性を感じていた。確かあの本のあの辺に該当の記述があったなぁとうろ覚えしていたものも、ブータンに住んでいて手元にその文献がないと確認ができない。なので、この一時帰国の機会に、文献を集中的に読み込む時間に充て、今後の院生指導に役立てていきたいと思った次第である。

直近の講座における履修生とのやり取りの中で話題となったのが、開発援助の有効性を巡る、コロンビア大学ジェフリー・サックス教授と元世界銀行エコノミストであるウィリアム・イースタリー教授の論争である。2008年に両者が出した著書の中で双方を批判し合っていたもので、貧困を撲滅するために先進国はもっと援助の増額をと訴える前者に対して、援助で貧困は撲滅できないと反論したのが後者だ。

10年も前の話になるので、その後世に出された文献の多くは、この論争に関して自身がどのようなポジショニングを取るかという点について何らか言及しているものが多い。有名なところではバナジー&デュフロ著『貧乏人の経済学(Poor Economics)』がある。援助が有効なのか有効でないのか、著書を通じて「空中戦」しているぐらいなら、現場に行って実験してみようというので、ランダム化比較試験(RCT)を用いて、数々のアプローチの有効性を検証している。

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