So-net無料ブログ作成
読書日記 ブログトップ
前の10件 | -

『それでも空は青い』 [読書日記]

それでも空は青い

それでも空は青い

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/11/29
  • メディア: 単行本
内容紹介
人と人の組み合わせの数だけ、物語がある―― 読めば心が軽くなる傑作集!
バーテンダーの僕は、骨折で入院した先の看護師の彼女に恋をした。退院後、何度かバーを訪ねてくれたものの、バツイチ7歳年上の彼女との距離はなかなか縮まらない。なぜなら彼女は“牛男”と暮らしているようで……(「僕と彼女と牛男のレシピ」)。
人間関係に正解なんてない――人づきあいに悩む背中をそっと押してくれる7つの物語。

前述の放送大学オンライン講座の終了試験が無事終わったし、もう1つ今週末にやりたかった秘密の作業にも予想よりも早めに目途がつきそうだったので、久しぶりに息抜きで小説でも読むことにした。選んだのは荻原浩の短編。先週末にコミセンの図書室で借りてあったのだけど、読めるのは遅めの夏休みに入る今週後半からかなという気がしていた。実際にはそれよりも数日早く読みはじめ、そして読み終わった。

夏休みの読書としては最適だったかも。荻原さんの作風がうまく出ていて、読後感もいい。「人生はパイナップル」は、甲子園の準々決勝の試合中継を時々チェックしながら読むこととなった。「スピードキング」も「僕と彼女と牛男のレシピ」も野球絡みの作品である。そういうのを、甲子園と同じ時期に読むっていうのもなんかの偶然だ。

どれも良かったと思うのだけれど、でもすみません、僕的にいちばん良かったのは「妖精たちの時間」でした。登場した主人公は僕よりも少なくとも15歳は若いのだけれど、同窓会と高校時代をつなげる作品ってのも、今の季節には合ってるかなと思うし、ちょっと意外な展開だったけど、あの静けさっていいなと思う。

それにしても、妖精だの幽霊だのがよく出て来る本だったな。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

『大人の週末起業』 [読書日記]

大人の週末起業

大人の週末起業

  • 作者: 藤井 孝一
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
ベストセラー『週末起業』から16年、令和の時代に待望の“大人版”が満を持して登場!サラリーマンは会社にいながら自分のビジネスを始めなさい。誰も教えてくれなかったあなたの「経験」「人脈」「趣味」をお金に換える方法。

2003年に出た『週末起業』、僕は2010年に二度にわたって読んだ。あの本は起業関係の本の中では最も共感できる1冊で、今でも時々読み返したくなる。そんな気持ちがあって、我が家の蔵書になっているちくま新書を書棚で探し始めたのとちょうど同じ頃、著者が16年ぶりの関連書を出したというのを知った。昔の蔵書を読み直すのもいいが、本書はどうも僕ら50代読者を想定して書かれているらしい。今読むなら後者だろうと判断し、さっそくキンドルで購入して読み始めた。

期待通りの1冊であった。今感じている自分のニーズには合っているし、提示されている方法論についても、無理のないものだと感じる。現在の僕の生活スタイルを振り返った時、おそらく変えて行かねばならないのはこのブログの活用方法だというのもなんとなく感じた。このブログが今のままではいけないのではないか、PV累計500万に到達した今、このブログを改装してビジネスツールにできないものかとは思っていた。ここ数カ月は自分の本の原稿を書くのに必死だったので、自由な時間のほとんどをそれに費やしてきていた。それが山を越えた今、次のステップとして考えておくべきはこのブログの改装、あるいは目的別に複数のブログに分離することなのかなという気がしてきている。

続きを読む


nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:

『老後の資金がありません』 [読書日記]

老後の資金がありません (中公文庫)

老後の資金がありません (中公文庫)

  • 作者: 垣谷 美雨
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
「老後は安泰」のはずだったのに! 後藤篤子は悩んでいた。娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費…しっかり蓄えた老後資金はみるみる激減し、夫婦そろって失職。家族の金難に振り回されつつ、やりくりする篤子の奮闘は報われるのか?ふりかかる金難もなんのその、生活の不安に勇気とヒントをあたえる家計応援小説。

あまりにもタイムリーな読書。数カ月前から僕の読友がFacebookで薦めはじめ、いつかは読もうと思っていたら、近所のコミセン図書室で偶然見つけてすぐ借りることができた。「老後の資金不足2000万円」という例の金融庁審議会報告書のおかげで、本書にも余計な注目が集まっていたに違いないこの時期、まさか借りられるとは思っていなかった。

垣谷作品も5作目ともなると、なんとなくパターンが見えてきていて、序盤から中盤にかけて主人公を奈落の底に陥れる様々な出来事が起こり、そこで明確にターニングポイントになる出来事が起こり、そこから終盤に向けた展開は、「V字回復」と表現したくなるような劇的なもので、何もかもがプラスに働いていくようになる。そういうポイントが作品の中観にかならずある。そこに至るまではこれでもかこれでもかという不利な出来事の連続で、読み進めるのもつらくなるが、ターニングポイントをクリアした瞬間がわかると、あとの展開はワクワクしながらページをめくり続けられる。

続きを読む


タグ:垣谷美雨
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:

『平場の月』 [読書日記]

平場の月

平場の月

  • 作者: 朝倉かすみ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/12/13
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
朝霞、新座、志木―。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる―。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。

この本、近所のコミセン図書室で偶然借りられた直後、なんと直木賞候補作品にノミネートされた。過去に直木賞を受賞した作品との比較において、またこれまで少ないながらも読んだ朝倉作品との比較において、これで選ばれないのもどうかという気は確かにする。

50代、年老いた親の介護、子の成長と独立、癌と死―――扱っているキーワードは一時期の重松清作品と近いが、彼の受賞作『ビタミンF』よりは高く評価する。重松作品はちょっと泣かせるための押しが相当入るが、『平場の月』の場合は冒頭ですでに須藤が大腸がんで亡くなることを明示し、それに向かって静かに流れていく時間が描かれている。一気に泣かせる描き方ではなく、静寂の中でじわじわ効いてくる泣かせ方である。僕はあまり読書してて泣くタイプの読者ではないけれど、同じ時代を生きている同年代の読者として、抱く共感は大きい。50代のオジサンにはやられた感が大きい作品だった。

朝倉作品にはありがちかなと思うのは、冒頭で出てくる人物と人間関係のごちゃつきであった。そこを我慢してやり過ごせば、あとの展開は時系列に沿っているので比較的読み進めやすい。適宜冒頭部分に戻って読み直し、「そういうことか」と理解して行くのである。また、時折中学時代の回想シーンが出てくるが、青砥が「付き合って下さい」と須藤に告げた時の須藤の不可解な言動が、どのような背景で生まれてきたのかもその中で語られていく。うまく効いていると思う。

続きを読む


タグ:朝倉かすみ
nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

『まちの病院がなくなる!?』 [読書日記]

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生

  • 作者: 伊関 友伸
  • 出版社/メーカー: 時事通信出版局
  • 発売日: 2007/12/01
  • メディア: 単行本
内容紹介
「残念ながら、わが国の地域医療の崩壊は、一過性のものではなく、今後、さらに深刻なものになると思われる。日本の地域医療の崩壊を食い止めるためには、国民すべてが、医療現場で起きていることを、人ごとではなく、自らのものとしてとらえること、何が問題なのかを「言葉」にして他人に伝えていくこと、自ら積極的に行動していくことが必要と考える。

読書メーターの「根雪」的蔵書解消プロジェクトの第3弾。これまでのところ最も古くからの根雪で、購入時期は2009年頃である。この頃、僕はインドに駐在していて、わけあって日本の地域医療の問題点について調べていた。その一環でアマゾンで購入したのだが結局駐在期間中には読むことができず、日本に持ち帰ってそのまま本棚に直行してしまった。

こういう時事ものって、旬を逃すと書かれている内容が現在もイキなのかというので悩んでしまう。本書は発刊から既に12年が経過している。当時としては新しい議論で、2006年に起きた夕張市立総合病院の経営破綻を契機に、自治体病院の実態について注目が集まっていた時期であった。

僕がこんな本を購入したのもそういう背景があったのことだが、発刊から12年も経った今、いざ読み始めてみると、当時の問題点の分析もさることながら、それで今はどうなっているのかの方が知りたくなってしまった。著者の書籍刊行は2014年で止まっている。そこで、著者が運営している「伊関友伸のブログ」も覗いてみたのだが、こちらは最近までブログのアップが行われていて、時々独り言のように持論が展開されているが、比較的最近のログでも議会や行政の無理解が指摘されているし、最近は「まちの病院」どころか「まち」自体がなくなるとの指摘も目立っている。


続きを読む


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

『ブレイクダウン・ザ・ウォール』 [読書日記]

ブレイクダウン・ザ・ウォール Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る

ブレイクダウン・ザ・ウォール Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る

  • 作者: 尾原 蓉子
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
ファッション・ビジネスの概念を日本に持ち込みアパレル業界のリーダー達に大きな影響を与えてきた著者が伝える人生の困難を乗り越えるための秘訣。

以前ご紹介した齊藤孝浩『アパレル・サバイバル』を読んだ際、アマゾンが、この本を買った人はこんな本も買っていますというリコメンドをしていた。さすがに購入はしなかったものの、ダメもとで地元の市立図書館に注文を出しておいたら、わりと早い段階で借りることができた。

期待していたような内容の本ではない。著者のこれまでの生涯を振り返り、その中でも中心的に著者が取り組んだファッションビジネス人材育成に焦点を当て、その問題意識やら今の姿にまで持って行くための様々な取組みが詳述されている本。タイトルは「壁を破る」となっているのだが、そこからは、女性が社会で直面する壁や組織の中で仕事を遂行していく中で直面する壁などが挙げられ、それらを著者がどう打ち破ってきたのかが描かれている。ある意味女性向けの啓蒙書であり、そしてある意味では日本のファッション業界人向けの啓発を意図した本でもある。

そんな中で、女性でも業界人でもない僕あたりにでも学びになるものがあるとすれば、それは著者がファッションビジネス人材育成に取り組む際に自身でも参加してみたという米国ハーバード・ビジネススクールの短期経営人材養成プログラム「AMP」に関する記述であった。

 AMPでもう1つ印象的だったのが、日本を見直す機会になったことです。第二次世界大戦で敗れ、壊滅状態だった日本が不死鳥のごとく蘇り、1973年のオイルショックを迎えるまでの経緯が書かれたケースを学んだのです。タイトルも「Miracle Recovery(奇跡的復興)」。戦後の廃墟と混乱の中で、政治家や財界、当時の大蔵省や通産省が一体となって産業振興に取組み、国民も拙しくとも一生懸命に生きていた様子は、私も実際に見てきました。この日本の復興のケースは、あらゆる開発国の手本になる、とのレクチャーもありました。議論しながら、思わず涙がこぼれてきました。本当に誇らしく思いました。同時に、日本人自身がこういった歴史をあらためて学ぶことが必要だと痛感しました。(pp.199-200)


この点は最近特に僕自身も痛感しているポイントである。僕自身もこの「Miracle Recovery」を読んでみたいと思ったのだが、調べてみたけれどもダウンロードできる状態ではなかった。
nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

『大川周明』 [読書日記]

『大川周明』というタイトルで、我が家に2冊の蔵書が眠っていた。いずれも2010年末頃に購入したものと思われるが、その時は関岡英之『大川周明の大アジア主義』を読んで興味を持ち、続けて2冊購入したものの、いずれも積読になってしまった。我が蔵書の中でも根雪中の根雪であった。

それを何故今頃読み始めたかといえば、根雪を溶かすという以上の大きな理由はない。9年間も積読にしておくのは心苦しいし、こんなことしていてば僕が読書管理に使っている読書メーターでも、いつまで経っても「積読本」の圧縮ができない。図書館で本を借りたりするのもいいが、帰国したら自宅の蔵書もある程度圧縮を図っておいた方がいい。そんな理由だった。

◇◇◇◇

大川周明  ある復古革新主義者の思想 (講談社学術文庫)

大川周明 ある復古革新主義者の思想 (講談社学術文庫)

  • 作者: 大塚 健洋
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/02/11
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
旧制荘内中学で社会主義に共鳴し、五高時代には黄金万能の資本主義社会打倒を訴えた扇動的学生・大川周明。帝大での宗教学研究から敬天・愛人・克己の思想を深め、さらに日本精神への回帰、アジア主義へと展開する思想的経路はいかなるものだったのか。また大東亜戦争の理論家として破局へと向かう道行とは?「始末に困る」至誠の人の思想と生涯。

1冊目は、大川周明の生涯を辿りながら、その思想形成の経緯を説明したコンパクトな解説書である。8年前に読んだ『大川周明の大アジア主義』が、「途中で同時代に大川と交流のあったキーパーソンの紹介に何度も脱線し、何の本だかわからなくなる錯覚に陥った。まるで昔のカッパブックスやNONブックスを読んでいるような感じだ。大川自身が走り回って周りを巻き込んでいく行動派ではなく、論壇で活発に評論活動を行なった学究肌の人だったからストーリーとしてのスリル性には欠けるのかもしれない」などと酷評するあまりいい文献ではなかったのと比べると、かなりまとまった解説書だった。

続きを読む


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

『ソウルフード探訪』 [読書日記]

ソウルフード探訪: 東京で見つけた異国の味

ソウルフード探訪: 東京で見つけた異国の味

  • 作者: 中川 明紀
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2018/05/25
  • メディア: 単行本

内容紹介
インド人が食べる「味噌汁」って?モンゴル人の力の源とは?B級グルメから母の味まで、世界の食をめぐるユーモアあふれるエッセイ。

世界各国の人々のソウルフードは何かを訊き、それを東京で食してみようという食レポ。どこかの雑誌で連載されていたものを1冊にまとめた本らしい。そのソウルフードをどこに行ったら食べられるか、レストラン名も詳らかにされている。

僕がこれまでに駐在した南アジア3ヵ国のソウルフードはいずれも紹介されている。ブータンが「エマダツィ」だというのは衆目の一致するところだろう。そして、それが食べられる東京のレストランといったら、代々木上原の「ガテモタブン」がパッと出てくる。著者であるレポーターがガテモタブンに一緒に連れて行ってもらったというブータン人の女性、僕の知り合いであった。そこでエマダツィを食べながら繰り広げられた会話にはデジャブ感もあったが、肩の力を抜いて気楽に読める。

インドは「ダル」だそうだ。え?それはどうかな~。南インドに行ったら「ドサ」と「サンバル」なんじゃないのか?ハイデラバードだったら「ビリヤニ」なのでは?インドのような大国を1回だけの紹介でまとめるのはちょっと乱暴だなと思ったが、同様のことは米国にもいえて、「マカロニチーズ」と言われちゃうと、通算4年住んでて一度もマカロニチーズを食べたことのない僕には肩透かしを食らった感じがすごくする。ルイジアナ州南部だったら、どれとは言わないが「ケイジャン料理」なんじゃないのかと思う。テキサスなら「レッドビーンズ」とか。話をインドに戻せば、紹介されていたのは西葛西のインドタウン。最近妻が西葛西までインド料理を食べに行ったらしいので、ちょっと羨ましい。

続きを読む


nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

『麒麟児』 [読書日記]

麒麟児

麒麟児

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/12/21
  • メディア: 単行本
内容紹介
『天地明察』の異才が放つ、勝海舟×西郷隆盛! 幕末歴史長編!慶応4年3月。鳥羽・伏見の戦いに勝利した官軍は、徳川慶喜追討令を受け、江戸に迫りつつあった。軍事取扱の勝海舟は、五万の大軍を率いる西郷隆盛との和議交渉に挑むための決死の策を練っていた。江戸の町を業火で包み、焼き尽くす「焦土戦術」を切り札として。和議交渉を実現するため、勝は西郷への手紙を山岡鉄太郎と益満休之助に託す。2人は敵中を突破し西郷に面会し、非戦の条件を持ち帰った。だが徳川方の結論は、降伏条件を「何一つ受け入れない」というものだった。3月14日、運命の日、死を覚悟して西郷と対峙する勝。命がけの「秘策」は発動するのか――。幕末最大の転換点、「江戸無血開城」。命を賭して成し遂げた2人の“麒麟児”の覚悟と決断を描く、著者渾身の歴史長編。

皮肉なもので、帰国して最初の仕事は、日本史の学び直しとなった。僕の日本史といったら、政治史に関しては徳川三代将軍・家光の頃で終わっているし、幕末から明治・大正・昭和に至る近現代の歴史といったら、イザベラ・バードら外国人による日本旅行記か民衆史、あるいは仕事で集中して読んだ繊維産業の歴史ぐらいの読書しかしていない。政治外交史というのは、僕にとってはまったく不勉強だった領域だ。

それを今さら学術書を読んでにわか勉強したって、有識者はおろか、今の仕事に以前から関わっておられた関係者の方々には遠く及ばないし、政治外交史のエキスパートになるわけではないから、大雑把にではあっても政治外交史はつかんでおいて、自分の勝負は別の場で行うというのが、知識弱者である僕の戦術だと自覚する。

そこで考えられる方法論は2つある。1つは、引き続き自分の関心のある近現代史の領域で自分の理解を深めることであるが、もう1つは、自分にとっては不勉強な近現代の政治外交は、それを扱った小説を読むことでお茶を濁すというものである。特に、幕末から明治初期は、小説で扱われることが多い。海音寺潮五郎は西郷隆盛が登場する作品をライフワークとして度々発表したし、他にもかなりあるだろう。

ということで、本日ご紹介する小説は、冲方丁の『麒麟児』である。

続きを読む


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

『奇跡のものづくり』 [読書日記]

奇跡のモノづくり

奇跡のモノづくり

  • 作者: 江上 剛
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/09/01
  • メディア: 単行本
内容紹介
世界に冠たる日本の技術を支える人たちは、何に悩み、何に挫折し、何に希望の光を見出したのか?日本再生に今こそ必要な人生哲学、仕事観がここにある!GDPがついに中国に抜かれ第三位に転落した日本。デフレ基調の不景気に歯止めがかからぬなか、国内産業は東日本大震災で未曽有の危機に直面している。しかし、意外にも業績が好調で、将来展望の明るい企業はまだまだ沢山あるという。なかでも、日本固有の技術、日本人ならではの気質を活かした製造業が元気だ。銀行員時代から数多くの事業・企業経営を客観的に眺めてきた著者が、「日本再生に今こそ必要な人生哲学、仕事観」を追い求めて、全国各地の製造業を徹底取材。伝統的産業から最先端企業まで、生産現場で汗する“仕事人”たちを訪ね、その世界基準といわれる技術や販売戦略を、時に熱く、時にクールに臨場感豊かにレポートする。効率化でもコストダウンでも利益極大化でもない……夢中になれば道は拓かれる!経済小説の旗手が描く血湧き肉躍るヒューマンドキュメント。日本再生に今こそ必要な人生哲学、仕事観がここにある!

昨日ご紹介した『ハードウェア・スタートアップ~』と同様、「ものづくり」ということでは本書も半年ほど前から読みたい本のリストに挙げていた。アマゾンの内容紹介を読む限りでは、知らない会社もないわけではなかったが、名の知れた会社も結構紹介されている。いずれも個人のスタートアップではなく、従業員がそこそこいる中小から大手企業なので、その点では慌てて読むべき本ともいえず、日本に戻ってきてから読もうと決めていた。

これくらいの頑固さと根気が必要なのだというのはよくわかる。そういうのが乏しい国で暮らしていたので、この点での日本人の凄さというのを感じるには本書はとても良い。こういうこだわりの部分を、外国の人には是非知って欲しいと思う。これくらいの根気が必要なんですよ。何事もそんなに簡単には成功は得られない。

粋を極めた技術なので、取材して文章に落し込む著者にも、描写で難しいところも相当あったに違いない。よく取材して、よく学んで描かれていると思う。

一方で、とはいってもこれからが大変だろうなという気もしてしまった。本書が出た2011年頃と比べても、今は至るところで「人手不足」というのが足かせになってきているように思える。本書で紹介されていた企業の中でも、後継者が既にいるケースはいいとしても、技術の継承、事業の持続可能性についてあまり触れられていないケースもあった。それ、8年後の今はどうなっているのだろうか。気になった。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:
前の10件 | - 読書日記 ブログトップ